コヨーテのはなし/アメリカ先住民のむかしばなし/リー・ベック・作 ヴァージニア・リー・バートン・絵 安藤紀子・訳/徳間書店/2020年
・コヨーテ、ガラガラヘビをこらしめる
恩を仇でかえそうとするガラガラヘビをこらしめる話。どこの国でも同じようです。
ウサギが坂道を下っていくと、石の下にガラガラヘビが下敷きになっていました。ウサギが力いっぱい石を押したり引いたりして、ヘビを助けますが、ヘビは助かるとウサギを食べようとします。
そこへコヨーテが通りかかります。それぞれの言い分を聞いたコヨーテは、当時の状況を再現するよういいます。へびがそれでいいといったので、コヨーテは、ウサギと力を合わせ、重い石をまたヘビの上において、そのままにしておきます。
・コヨーテ、オオカミからヒツジをすくう
ふとったヒツジと、とてもやせたヒツジにであったオオカミが、ヒツジを食べようとします。
やせたヒツジは「わたしはおいしくないですよ。がりがりで、おまけに骨がかたいのなんのって」、ふとったヒツジは、「あぶらっこすぎて、食べたら、むかむかしますよ!」といい、「あしたまでに、もう少しふとって、きょうよりおいしくなりますから」「もう少し痩せて、食べてもむかむかしないよういなりますから」と、なんとか食べられないようにします。
オオカミは、コヨーテにきめてもらうことに。
コヨーテは、オオカミは印のつけたところに立ち、ふとったヒツジは、印の北へ20歩、やせたヒツジは南へ20歩から走ってくるよういいます。そしてオオカミの方に先についた方が、あすまでいきのびられる。しかし、負けたほうは、きょう食われる競争をもちかけます。
同じぐらいの早さで駆けだした二匹が、両側からオオカミのあばらに頭突きをすると、オオカミは息もたえだえで、地面にたおれてしまいます。二匹のヒツジは、すぐに一目散に逃げだしてしまいます。
コヨーテはヒツジの頭突きの威力を知っていたのでしょう。