空とぶ馬と七人のきょうだい/イチンノロブ・ガンバートル・文 バーサンスレン・ボロルマー・絵 津田紀子・訳/廣済堂あかつき/2021年
昔、空に星はなく、夜が くらやみに おおわれていたころ。
モンゴルの草原では、王さまが七人の美しい王女と暮らしていました。夜、王女たちが姿をあらわすと、くらやみも 光が ともされたように明るくなるのでした。
あるばん、七人の王女がたのしそうにおどっているすがたをみた見た鳥の王ハンガリドが王女たちをさらってしまいました。王は祈とう師のお告げにより、草原に住む七人の兄弟に王女を取り戻すよう命令します。
タカの目、風の足、かっこうののど、金の手、鼻きき、耳きき、力こぶの七人兄弟。よぼよぼの馬に、銀のくつわを はめ、かしこいおじいさんが声をかけると、馬にはつばさが はえ、この馬に乗って、七人兄弟は王女を探す旅に出ました。
名は体を表すように、それぞれが特技を持っています。ほかの話にあまりみられないのが、金の手、かっこうののどでしょうか。金の手はゲルづくりの達人、かっこうののどは、ハンガリドの口から多数の毒へびが はきだされると 歌をうたって 眠らせてしまいます。
ハンガリドから王女を助け出した七人兄弟でしたが、馬が 空を飛べなくなって そのまま王女たちと天で暮らすようになりました。
天に暮らすようになった七人のきょうだいと七人の王女が北斗七星になり、馬は北極星になったという壮大なモンゴルの昔話です。
七人が力を合わせて鳥の王ハンガリドにたちむかうという安心できる?お話です。
王女の黄色いワンピース、結んだ髪、兄弟の帽子など見どころもいっぱい。ただ、ハンガリドを文字で表現するのは難しい。