アフリカ<トーゴ>の昔ばなし きのどくなハイエナ/江口一久・採話 田主誠・絵/小峰書店/1984年
重訳の場合は少しづつニュアンスがかわってきそうですが、フルフルデ語から直接訳されたもので、その意味では現地の雰囲気が損なわれていないかもしれません。
毎回、国がちがっても同じような話があるのが不思議ですが、「マメ子と魔物」を思わせます。
三つ子の子が、畑にいって、畑のそばの小屋で休んでいると、となりの小屋にすむ女がごはんをはこんできます。
二人はおなかがふくれると寝ってしまいますが、ちびは寝りませんでした。
女がなぜごはんを運んできたかの理由がわからずにいると、じつは人食い女で、三人の兄弟をいただこうとしていたのです。
ちびは、相手の正体をしっていたのか、まだ寝らないのかと聞かれ、木を一本くれたら寝られるんだけれどといいます。
女が木をもってくると、今度は寝る前に、いつもお母さんがタマゴをもってきてくれるといって、タマゴをてにいれます。
ちびは、まだ寝っていないのかと聞かれ、石がないと寝れないとこたえ、人食い女から石を手に入れます。
やがて三人が逃げ出し、これを人食い女が追いかけます。
ここから先は、よくある逃走談です。
ちびが木をなげると、林に変わり、石をなげると岩山、タマゴをなげると大きな川があらわれます。
人食い女が川の水を飲み始めると、飲みすぎておなが破裂してしまいます。
タマゴをなげると川になるというのは、なぜと聞かれてもよ くわかりません。
楽しいのは、人食い女が三人に追いついた場面。
「朝まだ暗いうちに逃げたあんたたちと、朝になってから追っかけたわしとが、もう出会ってしまったというわけさ」
三回の繰り返しが効果的です。
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