鉱山のお勉強をしていて、現物を見る機会があまりありませんので、文字で書かれたものを頭の中で映像化(イメージ)するということが必要になります。鉱山で坑道を掘るということを、当初はトンネルを掘るイメージでいました。トンネルは、山を迂回していた道などを最短距離で結ぶことが多いので、基本的にまっすぐ掘るようです。
一方の鉱山の坑道は、鉱石の集まり(鉱脈)を見つけるまではまっすぐに掘り、これを立入坑道と呼んでおり、鉱脈にあたると、それに沿った形で掘り進んだり、地面に露出している鉱脈から鉱脈に沿って掘ったりもするようで、これを𨫤(ひ=鉱脈)押坑道と呼んでいるそうです。
(尾去沢鉱山の銅鉱脈)
𨫤押坑道は鉱脈に沿って掘るため、直線とは限らず、地下でグネグネ曲がったりするケースもあるようで、尾去沢鉱山では巨大な鉱脈を掘り進んだ結果、大きな洞窟が出来上がったとのことです。古い本では、「六十切沢に坑口を設けて、(立入)30mにて着脈、𨫤押しすること75mの地点で掘り下げ、1mのところで30カ所より含金100g/トン、含銅10%の優良鉱石を得て、(以下略)」などと記載されています。
こうしたことに関心を持って尾去沢鉱山や野田玉川鉱山などの坑道を見てみると、また別な見方が出来るかと思います。ただ、通常見学できるのは、大切坑、通洞坑と呼ばれる運搬・換気用の直線坑道が多いので、わき道を覗いてみてください。トップ写真は尾去沢鉱山内部。天然の鍾乳洞ではなく、銅鉱石を採掘して鉱脈を採掘した跡が洞窟のように残った、いわゆる「人間の欲望の残滓」です。
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