児童生徒に東京パラリンピックの観戦機会を提供する「学校連携観戦プログラム」が25日、幕張メッセ(千葉市美浜区)などの競技会場で始まった。幕張メッセでは、同市の中学校12校の生徒計468人が車いすフェンシングやゴールボールを観戦。大会組織委員会は新型コロナウイルス対策を徹底し、子どもたちは声を出さず拍手で応援。選手からは「力になった」との声が上がったが、直前で参加を諦める生徒が多く出て、新型コロナへの不安が改めて浮き彫りになった。
幕張メッセの車いすフェンシングの試合会場では、他の関係者と接触しないよう生徒らの通路に間仕切りを設け、「声援は避け、拍手で応援を」と記した看板を置いた。試合中もスタッフがマスク着用状況を確認。ポイントを獲得した選手が大声を上げる一方、生徒は静かに観戦した。
参加した千葉市内の中学校教頭は「声を出さず拍手で応援するよう指導した。観戦者が少なく、密集していた印象はなかった」と説明した。
幕張メッセではゴールボールも行われ日本戦などがあった。生徒らはリズムよく「チャチャチャ」と手をたたいてエールを送った。日本代表の浦田理恵選手(44)は試合後、「子どもたちが元気な応援をしてくれた。すごく力になった」と笑顔だった。
同市若葉区の貝塚中は1年生55人が観戦。生徒は教員10人と貸し切りバス5台に分乗して学校と会場を往復した。北島啓行校長は「生徒たちは障害者について知識を持っていても、実際に出会う経験が少ない。感染対策を取りつつ経験を積んでほしかった。帰りのバスで聞くと選手の迫力や会場の臨場感に感動した生徒が多かった。やって良かった」と話した。
市教委によると、25日は市立中学校12校の生徒計468人が幕張メッセで観戦した。対象生徒は1746人で参加率は26・8%。23日の事前アンケートでは61%が参加の意志を示していたが、直前になって見合わせる生徒が相次いだ。貝塚中でも当初は204人が観戦予定だったが、コロナ感染者の急増や他自治体の観戦辞退報道などを受け減ったという。