10月中旬の今の時期になると、学生時代に初めて海外旅行に行ったときのことを思い出します。
スペインとフランスへの旅。
バルセロナから入ってガウディの作品に出会い、カタルーニャ地方でロマネスク美術を浴びつつピレネー山脈越え。
くるくると回りながら走るかわいい登山電車に揺られながら国境を越え、南フランスからパリへ向かう旅。
ヘッドホンでRickie Lee Jonesの曲を聴きながら、写真以上にスケッチを描き続ける旅でした。
フランスでは建築家ル・コルビュジェが設計した作品「ロンシャンの教会」を訪れました。
光、闇、色、量感。
そんな目に見えるものを必死に目で追い、
そのなかに巨匠が込めた「時間」や「記憶」といった目に見えないものの象徴や暗喩を、必死に嗅ぎつける。
若い時だからこそ夢中でできた、純粋無垢な建築の味わい方でした。
この旅で買い求めた、ロンシャンの教会の作品集と、パリの文房具店で見つけたペンケース。
こうしたカタチあるものを通して、かつて自分が夢中になったことに想いを馳せる時間も、楽しいものです。
作品集は今でもページをめくり、ペンケースは建築現場に連れていく。
そう、過去のものではなく、僕にとってはまさに今、共にあるものなのです。