冬仕立て

2024-01-24 22:45:35 | 透かし庭の家


「透かし庭の家」の一年点検に。
ダイニングに面した庭の緑が落葉し、冬らしい風情になります。
室内には防寒用の障子を建て込んで、凛とした佇まいになりました。

緑が印象的な春夏秋と異なり、冬には特別な趣きがあると思います。
と、土門拳もそんなことを言ってたっけ。

障子を通した柔らかい光の中、ペンダント照明や、無垢の木の素材感が美しく映えます。

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ヒュッゲな家

2023-10-03 22:19:03 | 透かし庭の家


昨年末にできあがった「透かし庭の家」を訪問しました。
「透かし庭」という言葉があるかはわからないのですが、周囲を家々に囲まれた立地のなかで、部屋の両方向に庭が透けてつながるようにつくった家です。
言葉通りのシンプルなコンセプトとデザインでできあがった家は、秋めいた穏やかな自然光のなかで、静かに佇んでいました。

室内に置かれたハンス・ウェグナーのデザインによるデイベッドソファ。こうして室内を見通すアングルのシーンも素適ですが、この家の本領は、その居心地の良さにあります。
このまま窓辺に近づいていって、ウェグナーのソファにゆったりと座り、ぐるりと囲まれたカウンター下の本棚から本を取り出したり、音楽を聴いたり、テレビを観たり。
大きな窓には緑が溢れ、朝は木漏れ日が室内に入ってきます。

居心地がよくて、とても静かな時間。ふと、ずっと大切にしてきた「ヒュッゲ」という北欧のキーワードが思い起こされます。
ほっこりする、というような日本語に近い意味合いになるそうです。
北欧デザインの家具もしっくりとよく似合う空間になりました。
天井にはダウンライトが無く、スタンド照明などを主にした照明の計画で、夜も癒しの雰囲気に満たされることでしょう。

そんなヒュッゲな空間の雰囲気を、このブログや、いずれホームページでもご紹介していきたいと思います。

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丸い天井

2023-06-30 21:53:54 | 透かし庭の家


僕が設計する住宅には、いろいろな場面で丸い天井が登場します。
それはリビングであったり廊下であったり書斎であったり。そしてこの写真は「透かし庭の家」の和室です。

木を活かしたインテリアが印象的なリビングの隣に、ぐっとトーンの抑えられた色調の空間があり、その天井が丸くなっています。
丸い天井は、図面で描くのは簡単で、施工はタイヘンな代表格のようなものですが、きれいにカーブが描かれるように、工事監督さんと大工さんとで材料を種々試してくれて実現しました。

カーブを描く天井は、古今東西でいろいろなかたちで建築空間に採り入れられてきました。
ですからけっして珍しいものではありませんが、その高さや寸法や色味などによって、その雰囲気は千差万別です。

どんな場合であっても、「ここにしかないもの」をつくりあげたいと思います。
この部屋の窓は南に面していて、その先には小さな庭が広がります。

ほの暗くて、そして明るい。

不思議な、ここにしかない窓辺の空間ができあがりました。



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修道院の窓

2022-12-05 22:52:35 | 透かし庭の家


世田谷区でつくってきた「透かし庭の家」も、ついにお引き渡しを迎えました。
その前日、しばし空間に浸りました。

薄日が差し、室内は穏やかな自然の光に満たされていました。
時間を経るごとに味わいの増す家にしたい。そんなイメージを建て主と共有しながら、インテリアの素材もひとつひとつ吟味してできあがった空間です。
ツガ材の板壁は、今は淡く優しい色合いで、だんだんと飴色に深みをましていきます。
ブラックチェリー材の床フローリングも、ぐっと色が深くなっていくことでしょう。



この家のなかで、密かに気に入っている場所があります。
密かに、というのも、実は表舞台のスペースではなく、ウォークインクローゼットのなかにつくられた小さなデスクコーナーだからです。
ちょっとした余白につくられた簡素な場所。
スリット窓から自然光が差し込んで、他に窓がない仄暗い空間のなかに、なにか安らぎの感覚と、集中を促すような雰囲気ができあがったのです。
そこは、かつてフィレンツェを旅したときに修道院のなかで見た、僧房の窓辺の空間に趣きが似ていたのです。
旅の記憶に出会う空間。
誰にも言っていないけど、僕にとってはかけがえのない空間です。
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現場のスナップ

2022-09-23 19:37:53 | 透かし庭の家


世田谷区の経堂で、住宅の現場が佳境を迎えています。
私道の奥に位置するこの家は、周りを家に囲まれています。
でも、歩行者が通らない私道の奥は、とても落ち着いた雰囲気があります。

家に帰ってきたら、最初に見えるのはきれいな庭。そんな光景をイメージしました。
庭からそのままリビングにポンと入る感じ。
形式的な玄関などは取り払ってシンプルにしたぶん、広々とした空間になりました。

上の写真は、休憩中の大工さんと談笑中のところを、スタッフのH君が撮ってくれた(映り込んでしまった!?)ものです 笑
とても作業の早い大工さんのスピードについていくのは大変だったけれども、指先まで神経の行き届いた出来栄えになったと思います。

不思議なご縁で、この現場の工事監督さんは、ぼくが村田靖夫さんの事務所で学んでいたときに、よく担当していただいた方です。
もう20年近く前になる当時のことを思い返しながら、いま新しい現場に一緒に向き合うのは、感慨深いものがあります。



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