高校生の時、建築に興味を持ち始めて、とても惹かれる建物がありました。
ニューヨークに建つ、クライスラービル。
何かの機会に写真を見て、単純にそのままカッコイイ!と思ったわけです。
たしかその写真は60年代ぐらいのニューヨークの写真で、青黒く退廃的な雰囲気に満ちていたのも印象的でした。
治安が良くなった現在とは大きく異なる、かつての怖い街ニューヨーク。地下鉄に乗ってはいけない街ニューヨーク。ジュリアーノ市長の大改革以前のそんなヤバい街ニューヨークにこんなエレガントなビルがあるというミスマッチ感も良かったのかもしれません。
9.11の跡地に新しいビル群が建ち並ぶも、街の象徴ともなる強烈な個性をもったものとして、クライスラービルは出色のように思います。
ビル単体で見ると、キングコングがよじ登ったエンパイアステートビルもニューヨークの象徴として扱われますが、グランドセントラル駅と建ち並ぶクライスラービルは、独自のエレガントさがあると思うのです。
昼間の佇まいも、夜の電飾の光景も。街の象徴としての風格が漂います。1930年前後のビル高さ競争の真っただ中に、猛烈なスピードで建設されたとのことですが、それが今も活き続けるのは素晴らしいことですね。
クライスラービルの存在を知ってから20年建ち、初めてニューヨークを訪れてこのビルを目の当たりにしたときは感無量でした。