オレンジ・リプトン

2007-03-31 19:26:14 | 日々

フランス土産の紅茶をいただきました。

リプトン・ティー。しかしながら、この銘柄は見たことがない。オレンジ・ジャイプール ~オレンジピールが入ったオレンジフレーバーのオレンジペコ~ だそうです。さっそくいただこうと思いフタをあけると、まずビックリ。ティーバッグが、見慣れた不織布のものではなく、粗めのガーゼ状の布に葉が入れられ、口を糸でひとつひとつ丁寧に縛ってあります。手仕事というわけではないのでしょうが、それほど効率的に大量生産できるティーバッグではなさそうです。

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ティーバッグをしげしげと眺めた後、いよいよお湯を注ぐと、その香りのいいこと!さわやかな風味!普段から紅茶もよく飲みますが、ティーバッグの紅茶でこれほど感銘を受けたことはなかったのです。ティーバッグでありながら手作りのような風合い、少しレトロな手描きのイラスト・・・。味にこだわろうとするフランス人気質のようなものが、この小さなティーバッグにも込められているようです。こういう仕事が尊重されるフランスの風土を羨ましく思いながら、最初の1杯はチョコクロワッサンと一緒に楽しんだのでした。

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自由が丘の家.6 ~クリスマスローズ~

2007-03-23 12:21:00 | 自由が丘の家

先日、東京でもソメイヨシノの開花が告げられました。春めいた日も増えてきましたが、去りゆく冬を名残惜しんで、寒い季節の花の話。

自由が丘の家の中庭には大きなモッコクの木があり、その樹元にクリスマスローズが植わっています。クリスマスローズは暑さを嫌い、寒さと半日影を好む花です。文字通りクリスマスの頃から春先までにかけての長い間花が咲きます。

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顔を下に向けて咲くので華やかさは少々劣るものの、少し大人びた色合い(?)のピンク色と、白色の花が2種類、盛り上がるようにして咲いているのを見ると、植物のもつ力強さのようなものを感じます。植物を力強く画面に表現した画家として、僕が思い起こすのは、女性画家ジョージア・オキーフ。彼女だったらどんな風にこの花を描いただろう。

中庭に面した玄関から家の中に入ると、小さなホールになっています。黒い壁に囲まれた空間には、天窓から静かに光が降っています。その光の漂うなかに、小さな花瓶がひとつ。以前建っていた家屋から引き継いで持ってきたものです。いろいろな花が活けられてきたこの花瓶には、今はクリスマスローズが活けられています。こうして数本だけ活けらていると、なにかこう、花自身が去りゆく冬に別れを惜しんでいるような。

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有元利夫

2007-03-17 19:25:02 | アート・デザイン・建築

先日、有元利夫の展覧会に行きました。有元については以前このブログでも少し書きましたが、氏の展覧会に行くのはもう6回目になります。なぜそんなに多くの機会があるかというと、毎年この時期になると、有元の命日にあわせて回顧展が開かれるからです。東京・千代田区の小川美術館という私的なギャラリーで開催されます。入場無料で、しかもガラスケースの中に収められるわけでもなく、間近でじっくりと観ることができます。有元の世界を少しでも世に広めようと、美術館の、亡き氏に対する愛情と誇りが感ぜられます。

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写真は、展覧会の案内ハガキ。昨年のものと、今年のものが2枚。

有元の絵は、西洋の古い宗教画、フレスコ画をはじめとした「様式」の世界に対するオマージュに溢れており、それを岩絵具などを用いた独自の作風にしていきました。そして、現代に描かれた新しい絵であるにもかかわらず、とこしえの「時間」を画面に沈めようと努力した人でした。その痕跡は絵そのものだけではなく、額縁にも及びました。ルーターと呼ばれる細いドリルで虫食いの孔を額縁に表現したり、古色ある風合いに着色したり。そうした演出は、伝統的な油彩画界やアカデミーからの批判もあったようですが、デザイン学科卒業の有元にとってはおかまいなしだったようです。有元の手によってしつらえられた額縁があるからこそ、その中に収められた画面が、しみじみと美しい。

有元の作品集は多く出版されていますが、どれもが絵だけを載せています。額縁を含めて鑑賞できるのは、展覧会だけ。簡素で、シンメトリカルで、天雅。安易な個性を嫌い、様式という深い深い水の底から、美しい構図と色彩を拾いあげてきた、という感じ。あっさりと言葉で表現するなら、「普遍性」。

毎年、この現代につくられた「普遍の美」に会いにくるのが、僕の恒例になっています。

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萩焼

2007-03-06 22:06:43 | 日々

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日常使いの湯呑みに、頂き物の萩焼を使っています。素朴な色合いのものが、僕の分と、妻の分と、あわせてふたつ、木箱に丁寧に入れられていました。

萩焼の特色は、焼き締まりが少ないため、表面から茶渋が染み込み(これを「貫入」というのだそうですが)、長く使うにつれて独特の風合いを醸し出すことにあるそうです。

さあ、どんな味わいがでてくるのだろう。楽しみにしながら、ことあるごとにお茶をよく飲みがら毎日観察するのですが・・・。

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しばらくすると、最初は見分けがつかなかった2つの湯呑みが、ひとつは不思議な紋様を描きだしてきました!そしてもうひとつは、おかしいな、あまり変化がない・・・?ちなみに変化がないのは、僕の方の湯呑みでした。お茶を飲む回数ならダンゼン勝っているのに!同じように見えても、湯呑みにも個性があるんですね。

もう使い始めて1年ほど経ちます。味わいをすぐに求めすぎたことへの戒めでしょうか、僕の湯呑みは新品の頃とさして変化はありません。それでも、ほんの少しずつ、雰囲気が変わってきました。

幽玄風情といわれる美しさを見られる日まで、気長に、ずっと愛用することにしようと思います。

日々の、ちょっとした楽しみの話でした。

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