空間の色

2022-02-27 23:01:30 | 青葉の家


家の中には廊下などの動線があります。通るだけの実用的なスペースだけれども、家の中を移動すること自体が気分転換のようになるといいなと思います。
写真は「青葉の家」の廊下からトイレに入るところ。
廊下といっても玄関ホールと一体になっているのですが、床には黒っぽいタイルが貼られて引き締まった雰囲気。
そこからトイレに入ると、壁と天井が紫色に塗られています。
やはりトイレのドアを開けるたびに「おおっ」とちょっとしたサプライズのような感覚があります(笑)

この家の設計が始まった当初から、施主となんとなく共通の話題になっていたのは、メキシコの建築家ルイス・バラガンの住宅のこと。
ルイス・バラガンの設計する住宅は、さまざまな色彩に溢れていることで有名ですが、実はモノクロームの空間も多いのです。
色を引き立てるのは無彩色、ということでしょうか。
「青葉の家」でのモノクロームの空間からパープル色の空間への出会いというのは、ちょっとルイス・バラガンの影響があったのかもしれません。

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雨の家

2019-06-09 22:58:37 | 青葉の家


東京も梅雨入りし、窓の外からは雨音が響くようになってきました。
雨も、しとしとと降るのは風情があってよいなと思います。

そういえば、建築関連の雑誌では、雨の写真はあまり見かけることがありません。
以前に雑誌の編集者に、雨の特集とかないんですか、と聞いたことがありました。
うーん、写真映えがしないからねえ、やっぱり晴れの日の写真の方が華やかに見えるでしょう。

たしかにその通り、と相槌をうちながらも、雨の時ならではの風情もいいんだけどな、と思わずにはいられません。
室内がほの暗くなり、逆に外の緑が鮮やかに見える。むしろ晴れの日よりも「癒し」の雰囲気なのになあ。

そんなことを思いながら、雨の家の写真を選んでみました。
仙台に建つ「青葉の家」。
大きく庇がでている分、晴れの日の華やかさよりもむしろ、雨の日に守られた感じがとても居心地がよくて、独特の安堵感のある家になったように思います。
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ちょうどよいキッチン。

2018-10-11 23:20:04 | 青葉の家


キッチンの収納は、なるべくたっぷりと収納できて雑多なものを隠す、というのが基本ですが、あえて見せて楽しいものもあります。
選び抜かれた美しい器を並べるのもよいし、でも一方で、日常的な気取らないピンナップだったり道具なんかがあるのも楽しいものです。

すっきりし過ぎるわけでもなく、雑然としているわけでもない。その間の、気持ちがほっこりするちょうどよい雰囲気をつくりたいなあと思います。
カッコよくデザインするぞ、と鼻息荒く挑むと、たいがいどうも堅苦しいキッチンになってしまいます。
キッチンメーカーに依頼すると、いかにも製品を据え付けました という感じになってしまう。

ここでどんなふうに過ごしているのかなあと想像しながら、楽しみながらスペースを考える以外、なかなか良いキッチンにはたどり着けないように思います。
写真は「青葉の家」から。
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窓辺のソファ

2017-01-11 07:06:41 | 青葉の家


仙台に建つ「青葉の家」の、冬のある日。
大きな窓辺の、ほっと息をつける場所。
ダイニングから一段下がって、庭の高さに近いリビング。
タモの木で作られた窓枠と、ざっくりとした風合いのカーテン。
無垢板のフローリング。
大きな庇に囲まれ、ざらっとした味のある左官塗りの壁に守られた家。

そんなものに囲まれていると、不思議に落ち着いてきます。
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植栽の打ち合わせ

2012-01-30 11:33:41 | 青葉の家

植栽の打ち合わせのため、仙台に建つ「青葉の家」を訪れました。この家はまだ先月に竣工し、引渡しをしたばかりで、植栽もまだこれからでしたので、造園家を交えて打ち合わせをすることになっていました。

駅を降りると、仙台は小雪がちらついていました。現場監理で幾度となく訪れたこの街に来ると、「ただいま」というような気持ちになるから不思議です。いつもの道を通って現地へ向かいました。

エントランスホールに入り、空間のつながりを久々に確かめるようにしながらリビングに向かうと、観葉植物が窓辺に彩りを与えてくれていました。オリーブの木。シルバーがかった渋い色調の葉が、この家の雰囲気にはよく合っているように思います。

1201301

ダイニングテーブルやソファなど、必要な家具がひととおり揃い、あるべき場所に置かれています。そうすると、「家の重心」のようなものがはっきりとあらわれて、居心地の良さが生まれているように思いました。引き渡してから最初に訪れる時は、うまく生活に馴染んでいってくれそうかなど、いろいろな思いが頭をよぎり、ちょっとドキドキするのですが、良い雰囲気の空間になっていて、ひと安心(笑)

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少し床の下げられたリビングは、天井高が3メートルのゆったりとした空間。そこに大きな木製の窓をつくり、庭と気持ちよくつながるように設計しました。その窓辺にはゆったりとした一人掛けソファとオットマンが置かれていて、思わず吸い寄せられてしまいました(笑)ここでコーヒーでも飲みながら読書をしたり音楽を聴いたりしていると、楽しいだろうなあ・・・。写真には映っていませんが、テラスの先にゆったりとした庭があって、そこに雑木を主体とした植栽が施される予定です。雑木特有の木漏れ陽が心地よいスペースになりそうです。

小雪まじりの空。天気の具合を映しこんだ自然光が、やわらかく室内を満たし、落ち着きのある陰影が生まれていました。まだ真新しい桜のフローリングも、タモでできた窓枠も、年月を経て飴色に変わっていくことでしょう。植栽は育ち、樹影を外壁や室内におとすことでしょう。角は擦り減ったり凹んだりするところもでてくるでしょう。家は、育っていくというべきなのか、年をとっていくというべきなのか。これからの永い歳月という時間によって、自ずと魅力が表れる家になっていってほしいと願っています。

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