住宅の設計にあわせて、家具のデザインもすることがあります。
その中心となるのはダイニングテーブル。無垢板を素材に選んで造ります。
ぼくの設計の特徴は、窓辺に居心地の良い居場所をつくること。
ダイニングのスペースは、食事のためだけでなく、無為に過ごせる場所にしたいと常々思っています。
長く時間を過ごすのだから、そこに置かれる家具はしっかりしたものを。
使い続けて愛着がわくものを。
そんなことを考えると、やはり無垢の木を用いてテーブルを造りたくなります。
上の写真は「吉祥寺北町の家」のダイニング。
庭に寄り添うような気持ちのよいスペースにしたいと思いました。
家具づくりにあたり大事にしたのは、このスペースにちょうどよいサイズで、長く過ごしていて疲れないこと。
テーブルのフォルムそのものはいたってシンプルですが、そのぶん無垢の木の存在感が際立ちます。
角部は丸く削り出すようなデザインになっていて、体にもよく馴染みます。
ミズナラの木でつくったテーブルは3枚接ぎです。テーブルの幅が90センチぐらいありますから、幅30センチほどの木を接ぎ合わせたもの。
もうこういうものはなかなか造れないのだろうなあと思うと、愛おしく思えます(笑)
テーブルとあわせてベンチも造りました。
キズも凹みも汚れもツヤも。少しずつ変化をしていくのがいいところ。
家は、できた姿が一番良いのではなく、時間が経って良くなっていくことをイメージしたいものです。