一昨日NHKで、数学界の100年に渡る難問「ポアンカレ予想」の解決と、携わった数学者達の苦悩をテーマに、ドキュメントが放映されていました。
難問が心を支配し、四六時中それを考え続ける苦悩は、なかなか普通の人間が直面することではないでしょう。彼らは目の前に広がる光景を、数学的な「空間」に置き換えて過ごしているようでした。きっと、同じモノや風景を見ながら、異なる空間を思い描いている、ということなのかもしれません。
僕らのような建築家は、場所や雰囲気を定義する際に「空間」という言葉をよく使います。でも、数学者や物理学者、その他多くに人にとって、そのような「空間」の定義は、意味が狭すぎるのかもしれません。
虚数「 i2乗=-1」は、数学的な意義だけでなく、交流回路など工学的な分野にも大きな発展をもたらしました。僕のような凡人は、この虚数を単なる決まり事として覚え、学生時代の数学の試験を四苦八苦しながら乗り切るのに精一杯でした。しかし本来的には、この虚数を「数学的な空間」としてイメージすることが大切なようですし、それをイメージできる人こそが、この有用な記号を用いて様々な問題を解決していったようです。ある意味、芸術家以上に芸術的なイメージ力ですよね。
ポアンカレ予想を解いたペレルマンさん、あなたは、僕がつくる「主観的で感覚的な空間」を、どのように感じられるのでしょうね。・・・「くだらん!」って一喝されやしないか心配です。