「白楽の家」は、大学時代からの友人O君から依頼されて設計した2世帯住宅でした。
O君の御父上が幼少より育った古い平屋の家。当時、大工さんが腕によりをかけてつくった様がわかります。
長い年月を経て、独特の風合いを帯びた備品の数々。
その古い家を建て替えるにあたり、それらのいくつかを、新築の家にも再利用できないか、そんなことを相談しました。
家の解体の前に、何を残すか決めて、大工さんにはいってもらい丁寧に取り外し、保管しておきました。
写真は、風呂場についていたレトロなランプ。遠くに見えるのは、和室の欄間の造作。
新築の家のなかでひっそりと、でも独特の存在感をもって息をふきかえしてくれて、とても嬉しくなりました。
カタログから製品を選んで据え付けるのではなく、昔の家にあったものや古くからあったものを敢えて使うことは、たんに記念という以上の意味があるように思うのです。
かつてここにあった時間を、ほんの少しだけ思い起こさせてくれるような、愛しい存在。
もっとも、そんなことを感じさせてくれるような雰囲気で使わなければ、まったく意味は無いのですが。
そんなところが難しく、そしておもしろいところです。