住宅の居心地の良さって、なんでしょうか。
簡単なようでいて意外に難しい問いかけなのですが、ぼくにとってそれは「安堵感」ということと密接につながっているように思います。
この家で過ごしていて、安堵感があるかどうか。設計するときはいつも図面を描きながらそんなことを考えます。
先日、雑誌の取材で訪れた「大磯の平屋」。
主張の強いデザインがあるわけではありませんが、安堵感をもたらしてくれるようなスペースを丁寧につくっていきました。
安堵感をもたらすためには、何か「守られている」ようなコーナーをつくっていく、というイメージに近いように思います。
一番上の写真はソファコーナー。庭が見える気持ちよいスペースですが、あえてソファの横と背後はシンプルな壁で守られるように。
ついでに天井もぐぐっと高さを抑えて、ソファに座っている時に落ち着く高さに。
次の写真は和室ですが、窓の高さを低く抑えることで、室内の重心が低くなり自ずと座りたくなる気分になります。
心地よい陰影と、坪庭の鮮やかな緑に守られるような空間で、風鈴の音が気持ちよく響きます。
ここは眠くなる場所ですね(笑)
最後の写真は、外部のテラス。大きな庇が日除けになり、盛夏の緑に柔らかく包まれるようなスペースです。
チェアの脇が大きな壁面になっているのもポイントで、これがコーナー感といいますか、守られる感覚をもたらしてくれます。
午後になるとこのグレージュ色の左官塗りの壁には、樹影がいっぱいに広がりゆらめきます。
こうして写真を並べると、どれもこれも派手さのカケラもないのですが、それがきっと安堵感、そして居心地の良さにつながっているのであれば、それでよし!と思うようにしています(笑)