今年の春にオノ・デザインのアトリエを新設し、まだ1年も経っていませんから、室内のいろいろなものがまだ新しさの名残があります。そのなかで、アトリエの玄関のドアハンドルが率先して、古びた雰囲気を放つようになってくれています。
このドアハンドルは真鍮でできていて、新しいときは金ピカです。それが、手に触れたりすることを通して酸化し、黒ずんで独特の古びた雰囲気が出てきます。アトリエができあがった頃はまだ金ピカ具合が「異彩」を放っていましたが、半年ほどをかけて徐々に黒ずんだ味わいが出てきてくれました。堀商店製のこのハンドルは握り心地もよく堅牢であることも有名で、ガチャリと閉まる手応えも気持ちよいのも嬉しいところ。
ドア本体はラワンの木でフレームができていて、濃色に塗装を施しました。落ち着いた色調のドア枠を背景に、金ピカのハンドルは黒ずんで、これみよがしな主張をすることなくなりましたが、ドアの開け閉てをするたびにちょっと嬉しくなるような、そんな充実感をもたらしてくれるようになりました。
派手ではないけれど、それがあることが嬉しくなるような、満足するような、そんなものごとの在り方を大切にしたいと思います。
そんな家になるよう、来年もひとつひとつの家を磨き上げるようにして設計していきたいと思います。
どうぞよいお年を。