鎌倉にて茶室のある住宅の建設がすすんでいます。
京間の八畳広間があり、裏千家の茶道の稽古ができるしつらえです。
床の間の用材選びはとても大切になります。
床柱や床框などは、実際に見て選びたいところ。そこで新木場にある銘木を扱う材木店に、施主と一緒に出かけました。
あらかじめだいたいのイメージを材木店に伝えてあったので、良さそうな材料を選りすぐって用意してくれていました。
求めるのは、北山杉の絞り丸太。
絞り方も天然のものと人工のものとでは表情が異なりますし、丸太の太さや絞りの出かたにより、その雰囲気はずいぶんと変わります。
いろいろと現物を見ながら相談し、最終的に選んだ床柱は、優和な表情をもつ天然の絞り丸太でした。
和室のなかに静けさと穏やかさをもたらしてくれることと思います。
この後は、ふすま紙や引手など、まだまだ選ばなければいけない大切なものがいくつもあります。
形式が定まっていながらも、自由。それが茶室空間のおもしろいところです。
施主のお人柄と、建築家としての僕自身の内面が、やはり選ぶものに表れてくるのだろうと思います。
茶道の心得を表した言葉通り、まさに一期一会ですね。