床柱を探しに。

2022-07-20 21:41:00 | 鎌倉小町の家


鎌倉にて茶室のある住宅の建設がすすんでいます。
京間の八畳広間があり、裏千家の茶道の稽古ができるしつらえです。

床の間の用材選びはとても大切になります。
床柱や床框などは、実際に見て選びたいところ。そこで新木場にある銘木を扱う材木店に、施主と一緒に出かけました。
あらかじめだいたいのイメージを材木店に伝えてあったので、良さそうな材料を選りすぐって用意してくれていました。

求めるのは、北山杉の絞り丸太。
絞り方も天然のものと人工のものとでは表情が異なりますし、丸太の太さや絞りの出かたにより、その雰囲気はずいぶんと変わります。
いろいろと現物を見ながら相談し、最終的に選んだ床柱は、優和な表情をもつ天然の絞り丸太でした。
和室のなかに静けさと穏やかさをもたらしてくれることと思います。

この後は、ふすま紙や引手など、まだまだ選ばなければいけない大切なものがいくつもあります。
形式が定まっていながらも、自由。それが茶室空間のおもしろいところです。
施主のお人柄と、建築家としての僕自身の内面が、やはり選ぶものに表れてくるのだろうと思います。
茶道の心得を表した言葉通り、まさに一期一会ですね。
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ハイライン ニューヨーク

2022-07-12 22:48:45 | 旅行記


ニューヨークを訪れたときに、ここは素晴らしいなと胸躍った場所がありました。それはハイラインと呼ばれる「空中散歩道」です。
昔、貨物輸送のための高架線となっていたところが、時代の変遷で廃線となり、荒廃し、植物が繁茂し、治安も悪くなり・・・
いわばニューヨークのお荷物のようになってしまったそうですが、その空間性こそ魅力だとして再開発し、都市公園として整備されたものだそうです。
廃線跡が歩道として整備されているのですが、そのデザインが素晴らしく、明るくキレイにし過ぎないところがポイントです。
倉庫街やビルの裏側をうねうねと道は続き、かつてそうであった雑草が繁茂した退廃的な雰囲気もいい感じで再現されているのです。



ニューヨークは街全体としてみると、現代的というよりも古典的、クラシックな雰囲気が多勢を占めます。
まだ現役の木製の高架水槽、レンガ積のビルの外壁、分厚い木の窓枠・・・。
素朴な材料が今でも残り、個性を主張するというよりも、調和があります。
ハイラインを歩いていると、そんな素朴な街並みの風情を間近に感じられるのも楽しいところ。
残したいものがたくさんある。そんなふうに思える街は素敵ですね。
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かっこいいクローゼット

2022-07-07 22:39:06 | 古木のある家


家のなかのクローゼットは、いわば裏方の場所。
実用的に棚板やハンガーパイプ類を取り付けたいところですが、あまりカッコよくデザインしようとするスペースでもなさそうです。
でも、ここ「古木のある家」のクローゼットはそんな既成概念(?)を打ち破り、なんだかとてもカッコいいクローゼットになったのです。
まず壁の塗装色がダークグレー系。これがシックです。
壁面に取り付けられた棚板レールやハンガーパイプ類は、ロイヤルというメーカーのものですが、そのクロームメッキの質感が、壁のダークな色調のなかでギラリと映えています。
服がたくさん掛けられてしまうと見えなくなってしまう光景だけれども、家の完成直後の束の間の神々しい空間!
床はこの後カーペットが貼られることになっています。
裏方こそ気持ちよく。大事にしたいところですね。
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ダイニングの楽しみ

2022-07-03 22:36:31 | わらびの家


家づくりのプロセスは、建設工事が終わって建物を引き渡すといったん一区切りにはなります。
でもそこから、「暮らしづくり」のようなものが始まります。
家具はどうしようか、食器はどうしようか、家の外に目を向ければ、庭をどうしようか・・・。
これらは工事とは関係の無いものだけれども、暮らしをカタチづくる重要なメンバーたちです。
家ができあがって、後はご自由にしてください、ということでもなくて、主要なところは設計の途中から話題にして、一緒に選んだり打合せをしたりします。

ハンスウェグナーのテーブルとYチェアは、来客に合わせてどのようにレイアウトできるかもシミュレーションしながら建て主と一緒に選んだものでした。
テーブルの背面にあるコーヒーミルなどは、さすがに「これにしましょう!」なんて差し出がましいことは言いませんが(笑)、気に入ったものを手の届くところに置いておけるように棚板をデザインしておきました。
気持ちよく暮らすためには、モノがきちんと片づけられるように収納をきちんと造っておくことが大事だと思っていますが、見ていて楽しいものはぜひオモテ舞台にあるといいなと思います。

いずれここで料理教室をやりたい。テンションの上がるキッチンを!
そんなご要望から始まったこの家づくり。
つくったお菓子や料理、庭にやってくる鳥のことなど、日々の様子がインスタグラムにアップされていて、それが本当にインスタ映え!していて、自分が設計したことを忘れてしまいそうです(笑)
日々の暮らしを楽しんでいただいていることを垣間見えて、建築家としては冥利に尽きる思いです。
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