紅葉の一日に

2019-12-23 22:46:41 | 富士の二つの家


晩秋の一日に、「富士のふたつの家」を訪れました。
家ができあがってから8年半、庭木も大きくなって家と一体となった雰囲気です。
秋に訪れたことがなかったので、紅葉を見るのはこの時が初めてでした。
住宅なのだけれども、ちょっとリゾートに来たような気分です(笑)

現場によく通い、隅々まで知っているはずの家だけれども、こうして何年も経つと、やはり自分の手から離れて、ずっと以前からそこにあったかのような雰囲気になってくれているのが、何より嬉しい。
家は、できた時がすべてではなく、ゆっくりゆっくりと時間を重ねていくもの。
当たり前のことだけれども、そんなことを実感できる家を丁寧につくっていきたいものです。

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富士再訪

2014-05-07 22:52:31 | 富士の二つの家

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良く晴れた連休の一日、「富士のふたつの家」にランチにご招待いただきました。家ができあがってから3年が経ち、植わった木々も大きくなり、すっかり場所になじんできた雰囲気です。
新緑の季節にデッキでランチをご馳走になりながら、楽しいひと時を過ごしました。

ふたつの家が橋のようなデッキでつながり、住人の皆さんは日々、行き来をします。中庭を挟んでちょうどよい距離感があります。家の中だけでなく、外にも生活空間が広がると、生活の場がとても楽しいものになるように思います。

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ウチの息子もちゃっかり参加(笑)。デッキで日向ぼっこも楽しそう。

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富士へ

2012-05-30 11:54:59 | 富士の二つの家

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1年前にお引渡しした住宅の一年点検が続きます。先日は、富士へ。もう何十回も通っているにもかかわらず、なんといまだ2,3度しか富士山の全景を拝めていないのです。そして案の定、今回も薄曇りの日でしたが、5月の心地よい季節、「富士のふたつの家」を楽しんでくることができました。(・・・点検に行ったんじゃなかったのか!と言われそうですが)

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緑が育ち、程よい陰りと奥行き感のある雰囲気がでてきていて、家がこの場所に馴染みつつあるように感じることができて、思わず嬉しくなりました。家の外部、内部ともに点検をしてまわり、塗装部分の補修箇所などを中心に、少し手を入れることにしました。

この家では、既製品をあまり使わず、家具を設計し作り付けにし、大きな窓も図面をおこして木製でつくりました。そうして人の手によって作られたものは、なんともいえない温かさや質感があるように思います。相当の作業量に、大工さんは「気が狂いそうだった・・・」と漏らされていたそうですが・・・(苦笑)。ご苦労をおかけしました。でもおかげさまで、素敵に家になりました。

点検後、外のデッキで、工務店のみなさんを交えお茶をいただき、さらにその後、夕食までご馳走になり、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。だんだんと住まい手の雰囲気と調和していく家を見るのは、とても楽しいものです。来年、再来年と、どんな風になってくのか、またお伺いするのが楽しみです。

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にぎやかで、静かな家

2011-05-03 22:20:32 | 富士の二つの家

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富士市で手がけてきた住宅「富士のふたつの家」が、引き渡しの日を迎えました。この住宅は2軒の家が隣り合って建っているのですが、ひとつの群造形として一体的にデザインしたものでした。ひとつは平屋。もうひとつは2階建て。それぞれの特徴を活かした設計に取り組んできました。

雄大な富士山を間近に望みながらも、交通量の多い街道の交差点にある大きな敷地。風光明媚で開放的というよりも、少し寄る辺のない印象をもちました。
だからこそ、このなかに落ち着きのある「奥行き」のある居場所をつくろう。設計の当初から、そんなことを考えていました。

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最初に考えたのは、ふたつの家の中心に、濃く緑が植わる中庭を築くこと。そしてそのまわりに生活の場が広がるようにすること。友人知人が集まる賑やかな場所と、一人でゆっくりと時間を過ごすための静かな場所の両方を、中庭の廻りに散りばめたいと思ったのです。

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木漏れ日が心地よい場所。
白い壁に映り込む陰影の美しい場所。
天井が高く開放的な場所。
座ったときにちょうどいい、とても天井が低く落ち着く場所。
いろいろな場所を散りばめました。
考え続けてきたのは、居心地の良い自然の光と陰影。場所に応じたスケール感。そして手ざわり。

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ハンマースホイ ふたたび

2011-03-29 12:05:47 | 富士の二つの家

昔、旅行でスペインに行ったときのこと。ピレネー山脈を登る列車に乗り、フランスとの国境近くにある街の駅で降り、駅に併設されていた食堂にはいりました。そこでは、昼間ということもあるのですが、すべての照明器具が消されていました。

少し高めの位置に設けられた窓から、やわらかい自然光がテーブルの上に降っていました。テーブルの上に置かれる料理や食器が、やんわりと降ってくる光によって、おのずと影をもち、美しい立体を浮かび上がらせていました。たんなる料理もとても美味しそうに見えるし!、たんなる食器も、自然光の効果で独特の艶が与えられ美しく見える、そんなことを体感した瞬間でした。

その時以来だんだんと、自然の光がつくりだす雰囲気や、影のことを考えるようになりました。たとえばフェルメールや、最近のブログでも書いたハンマースホイの絵画のような、光と影。そういうものを現実のものとすることが、僕にとっては追い続けてきた道でもあります。

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「富士のふたつの家」の施工現場。2階のリビングの窓は、あえて大きさを絞り、奥行きを与えました。そこからはいってくる自然の光によって、まわりの大きな壁に諧調のある陰影が現れます。置かれた工事用の脚立までもが、何か独特の存在感をもつオブジェのようにも見えました。家が完成し、生活がはじまったとき、日々の暮らしが、光や影の美しさに満たされたとしたら、設計者としてこれ以上のよろこびはありません。

昼間は、活動のために明るさが必要だから、窓辺に居場所ができる。それ以外の場所は、おだやかな陰影につつまれる。そういうバランスがあってこそ、居心地の良さが生まれてくるのだと思います。だから、余計な明かりや演出はいらない。そう、ハンマースホイの絵のような。

夜は、本来、暗いもの。そう考えれば、光源のあるところに居場所ができて、その周りには、静かで深い陰影ができるのは当然と言えます。それが一番自然だし当たり前のことと気づけば、暗いところをなくすような照明なんて、いらなくなるはず。

節電を機に、そんな感覚が静かに広がっていくといいな、と思います。

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