前回のブログで書いたタイルつながりの話です。
住宅の設計では、お施主さんと素材の打合せを多くしますが、そのなかで最も気合?が入るのが、タイルについてです。
国内外の多くのメーカーでタイルは製造され、それらはインターネットで気軽に探すことができサンプルも取り寄せられます。
各種サンプルのなかでも、タイルは最も華やかな部類でしょう。
といっても、絵柄や模様が入っているものが候補に挙がることは少なく、色調や質感そのものが美しいものを探すことが多いと思います。
「小野さんだったら、どれ選びます?」
とよく聞かれますが、ついつい選んでしまうのが、くすんだ色調の、いわゆる「無名色」のもの。好みが表れてしまいます(笑)
じゃあ、心に残ったタイルは?と自問してみると、あれもよかった、これもよかった、といろいろ思い返して、やはりこれかな、と思うのが写真のタイル。
まあ、住宅用にデザインされたタイルではないので反則ですが(笑)、とっても古いモザイクタイルです。
ローマでも最も古い聖堂のひとつ、サンタ・サビーナ聖堂。
アヴェンティーノの丘を朝早く登って行くと、サンタ・サビーナは現れます。
まだ観光客もほとんど訪れない朝の時間。
中に入って正面の壁にはモザイクタイルでラテン語が刻まれていて、朝の光がモザイクタイルを照らして輝きます。
不思議なもので、陽が登ってくるにつれて、輝きがなくなるどころか、ぐっと沈み込んでいきます。
朝のある時間帯だけ立ち現れるプレゼントは、ぐっと心に残ります。綺麗とかカッコいい、という類のものではなく、ただただ眺めてしまう感じ。
前回のブログで「神々しい」とか書いちゃったけど、サンタ・サビーナを前にすると失礼な話・・・ですね。