個室のこと

2024-04-23 22:30:28 | 緑の回廊の家


上の写真は、先月にお引渡ししたばかりの「緑の回廊の家」の、個室です。
広い庭があって、そこに面して正方形の窓がひとつ。
庭が広いのだから、もっと大きな窓にすることもできましたが、やはりこのサイズがいいと思いました。

立ったときには、窓の高さがとても低く感じます。
でも、すわったときには、すぅっと目線が庭に滑り出て行って、とてもよい案配。
この部屋では、建て主の愛犬が一緒に過ごしたり一緒に寝たり。そんな暮らしのことをイメージしながらつくった部屋でした。
愛犬の目線からも、無理なく庭が眺められそう。

窓の傍らには、真新しいライティングビューロー。建て主がずっと憧れていたものだそうです。大事なものが、窓辺の傍らに。
無垢のチェリー材で丁寧に作られたこの家具は、家具工房ウッドユーライクカンパニーのもの。職人さん自ら運び入れてくださったそうです。

自分だけの窓辺と、デスクがひとつ。
ぼくにとって、個室のいちばん魅力的なあり方は、そんなところにあります。




上の写真は、かつてイタリアを一人旅したときに訪れた、フィレンツェ近郊の小さな村にある修道院の個室。
回廊のある開放的な1階の空間のうえに、修道士のための個室が並んでいます。
とても小さな空間で、こちらも無垢の木でできたデスクと、小さな窓がひとつ。
要素がとても少ないぶん、窓からの光も鮮烈で、デスクの経年の味わいも際立っていました。
デザインなどなにも無いような空間だけれども、逆に余計なものが何もなく、純粋で真正なものだけがある、という充実感に心が満たされたのを覚えています。
一人旅だったせいかな、笑

このときの一人旅では多くの修道院を訪れて、人々が語らう開放的な緑あふれる回廊と、ひとりきりでいることが心地よく感じる美しい窓辺の個室を、じっくりと見て回りました。
そのときに感じた気分が、その後ぼくが設計する住宅には、静かに息づいているような気がしています。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ランチ会

2024-04-16 22:16:27 | わらびの家


5年前に完成した「わらびの家」の建て主から、ランチにお誘いいただきました。
ランチ会には工事を担当した監督さんもいらっしゃって、久々に家づくりのメンバーが集い、楽しいひと時となりました。

この家は、テンションの上がるキッチンを!というテーマをいただき、一緒につくりあげてきた家で、ぼくにとっても思い出深く、そしてとても気に入っている住宅です。
とにかく来るたびに、いい。そんなふうに思えることが幸せですし、家を大切にしていただけていることをとても嬉しく思います。
建て主のインスタグラムにも日々の様子が紹介されているのですが、なんて映えること!(笑) 久しぶりに訪れましたが、素敵な雰囲気になっていることを日々見せていただけるのは嬉しいものです。



庭には小鳥が遊びに来るようになったそうです。
ランチ会のときにも、バードバスやピーナッツ台に小鳥が次々にやってきます。
トラックがブンブン通る街道沿いに建つロケーションなのに、一歩中に入ると静かで、小さな庭は楽園のようです。

ハンスウェグナーがデザインしたテーブルや、ルイスポールセンのランプも空間に優雅さをもたらしてくれます。
ぼくたちがデザインした窓も、よい雰囲気で庭の風景を切り取ってくれています。

ゆっくり時間が流れる、落ち着く楽しい居場所。
そんな家になったなあと思えて、嬉しくなりました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする