静かなギャラリー

2021-10-28 22:03:46 | M's ark


設計したM's arkに併設されているギャラリー「M-gallery」で画家・伊藤泰雅さんの展覧会が開催され、訪問しました。
伊藤さんの作品は抽象的でありながら、そのマチエールは独特の物質感に満ちています。
その場に居合わせないと、なかなか感じ取れないマチエールというものがあります。

M-galleryは、ギャラリーでありながらコンクリート打放の壁面になっていて、しかも中庭に面して屋外に気配がつながる異色の空間です。
路地の奥にある立地で、アプローチを進んで中庭にたどりつくと、そこはギャラリーの空間です。
街なかの喧噪から離れ、静謐な場所。



そんな場所の雰囲気のなかで見る伊藤さんの作品には、しんとした静けさがあります。
訪問した時は曇り空。
晴れの日や雨の日には、中庭を通して光も音も変わり、違った雰囲気に感じられることでしょう。

ちょうど居合わせた来場者の方には、居心地がいいねえと言っていただきました。
窓辺に置かれた椅子に腰かけ、作品を観ながらゆっくり過ごしたくなる雰囲気でした。

それにしても伊藤泰雅さんの作品。
いろいろな図像にも見えてくる不思議な画風に見入りました。




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雨の中の家

2021-10-13 22:34:34 | 吉祥寺北町の家


「吉祥寺北町の家」に、長期優良住宅制度の定期点検で伺いました。
できあがって5年以上が経ち、久々の訪問となりました。

今日はしとしと雨。
どんなふうになっているかな。手がけた家に久々に再開するのはちょっとどきどきします。
かつて通いなれた道を通って近づくと、その壁面の多い懐かしい表情が見えました。

派手さはない外観。
いつの間にか大きくなった庭木。

ずうっと見ているとなんだか、じわじわくる感じ。無名のロマネスクの礼拝堂に出会う感じに似ている、かな。
時間を味方につけて、場所の一部になってきたような雰囲気があって嬉しくなりました。

肝心の点検では特に問題がなく、ひとまず安心。
この住宅を建ててくれた渡邉技建の工事監督さんと大工さんには、ちょうど今も進行中の杉並区の新築現場で携わってくれています。
下地づくりがしっかりしているから問題が起きない。
あたりまえのことようでありながら、難しいことでもあります。

勝手口の上に、やはり庇があった方がよいね、ということになり、どのように造るか打合せ。
はじめは、リフォーム用の後付けアルミ製品をつけるのがよいかと話を進めたけれど、途中から、やっぱり家の雰囲気に合わないんじゃない、ということに。
結果的には大工さんに造作してもらう方法で検討してみました。

丁寧につくった家には、あまり中途半端に手軽なことはしないほうがいいですね。


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プレゼン前

2021-10-08 22:21:06 | 進行中プロジェクト


設計のご依頼を受けて、設計デザイン案をスタディしてプレゼンの準備をする時間というのは、独特の気分があります。
もう少し若かった頃は、プレゼン前には妙に構えてしまって、どんな話をしようかと考えるだけで気負うような感覚がありました。
それがプレゼン中には緊張感として表れていたのではないかな、と今になっては思います。なんか恥ずかしかったな~(笑)
でも、ここしばらくは、プレゼン前の準備時間が、なにかプレゼントを準備しているような感覚になってきました。

施主に会って家づくりへの思いをヒアリングして、敷地に身を置いてみて、どんな家になるかなあと思いを馳せつつ、鉛筆で紙の上にイメージを描き始めます。
設計の端緒となるものが、敷地から見える1本の木であったり、家々のスキマから届く自然光であったり、施主の話したちょっとした言葉だったり・・・。
そんなふうにどの家もキッカケになるものはすべて異なります。
そうして新しい家のことを考えているのに、そのイメージの源泉が何世紀も前のロマネスクの空間の記憶だったりもします。

目に見えるものも見えないものもないまぜにして、イメージのなかを、行ったり来たり。
そうしてできあがったデザイン案を共有していただけた時には、やはり喜びがありますね。




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階段の上には

2021-10-01 23:22:11 | 目黒本町の家


コロナ禍で手洗いや洗面コーナーの重要度が上がりました。
通常、いわゆる洗面室のなかに洗面台があったりするのですが、玄関のすぐ脇であったり、廊下の途中であったり、とにかくパッと手を洗える位置にあると便利です。

写真は「目黒本町の家」。2世帯住宅で、洗面室は2世帯共用なのですが、それとは別に階段を上がっていった先に、子世帯専用の洗面カウンターが造りつけてあります。
通常、リビングの扉を開け放していることが多いから、階段の上にあるこの洗面コーナーは、リビングからも見通せます。
モザイクタイルを貼り、ライトに照らされてキラっと光ります。
階段の上のスペースの有効利用ということでもあるけれど、インテリアとしてもちょっと趣きのあるスペースになると、手を洗うのがちょっといい時間になる、かもしれません(笑)
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