爽やかな秋のイメージとは裏腹に、今年の東京は雨続きです。そのせいか、ぼくの事務所の前のアプローチ舗装に芽生える「苔」たちも、なんだかいつもにも増して元気になっててきました(笑)
この舗装は「モルタルサイコロ」という粗雑なコンクリート片が敷きならべられてできています。
モルタルサイコロというのは、コンクリート工事の際に鉄筋のスペーサーとして使われるもので、純然たる裏方の材料です。
寸法の精度は悪く、表面は粗くガサガサ。
実はこれが良い味を出してくれるのです。
日本の職人さんはとても技術が高く、精度よくものごとを作るのが美徳とされます。
ですから、もっとラフな感じに・・・というオーダーは、逆にやりにくいそうです。
そこで、もともと寸法がいい加減な材料を、きれいに並べてください、とお願いすると、いい案配のラフな感じが出ます。
モルタルサイコロをきれいに並べても、当然スキマができます。
そのスキマに小さな植物の種が入り、数年越しでご覧の写真のような「コケ目地」ができました。
年月と共に味の出る、カタログには絶対に載っていないオリジナルなデザインです。