ローマに、サンティ・クアトロ・コロナーティという修道院があります。
ガイドブックの片隅になんとか載っているぐらいだから、人気の観光スポットということではないのかもしれないのだけれど、いくつかの本でこの修道院のことが取り上げてあって、ずっと気になっていた場所でした。
念願叶って、ついに訪れた時のこと。
暑い夏の日で、強い光と、くっきりとした影。
中庭に面した祈祷室内には不思議なくらいの静けさと、ついでに涼しさもあって、そして薄暗くて、なんだか眠くなってくるような落ち着きがありました。
祈祷室だというのに、なんとバチあたりな、と思いつつ、でもずいぶんと長くそこで時間を過ごしました。
上から格子窓を通して降り注ぐ光。
その光が、古びた木の床板の上でゆらめいて遊んでいるのです。
じんわりと、時間の厚みを感じる。
そんな体験でした。