もうすぐ完成!

2019-06-30 00:02:47 | わらびの家


蕨市で建てている住宅の足場が外され、全貌が見えました。グレージュの落ち着いた外観。
防火規制のかかる都会の真ん中ですが、防火ラインを避けながら設計し、木製の窓が実現できました。
これからウォルナット色に防腐着色され、内外ともに落ち着いた雰囲気が現れるのが楽しみです。

庇の下のテラスは雨に濡れず、梅雨の時期にはより有難さを感じます。
そのテラスに面して、フリーハンドイマイさんのオーダーメイドキッチンが設置されました。

大工さんの工事も終盤、現場は佳境にはいっています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地域につながる

2019-06-16 00:08:06 | 大きな出窓の家


住宅の建てられる環境はさまざまで、風景がひろがっている環境もあれば、周りを建物で囲まれているような環境もあります。
どのような土地であっても、その環境のもつ特徴をよく観察して引き出していきたいものだと思います。

富士市に建つ「大きな出窓の家」は、敷地の目の前に農業用水が流れるのどかな環境でした。
初めて敷地を訪れたときは、用水路に柵は無く、古びた木のベンチがぽんと置かれていました。

整備されすぎないそんな環境をそのまま残したく、その雰囲気にすんなりとつながる土間スペースをつくりました。
そんなナチュラルな雰囲気に寄り添うように、ドアは木製で作りました。
天井も木で、素朴な小屋の趣に。
施主の愛蔵するペンダント照明を吊り下げて。

大きな余白のような土間スペースは、家のなかのようでありながら、屋外のようでもあり、地域の環境を心地よく感じ取ることができます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雨の家

2019-06-09 22:58:37 | 青葉の家


東京も梅雨入りし、窓の外からは雨音が響くようになってきました。
雨も、しとしとと降るのは風情があってよいなと思います。

そういえば、建築関連の雑誌では、雨の写真はあまり見かけることがありません。
以前に雑誌の編集者に、雨の特集とかないんですか、と聞いたことがありました。
うーん、写真映えがしないからねえ、やっぱり晴れの日の写真の方が華やかに見えるでしょう。

たしかにその通り、と相槌をうちながらも、雨の時ならではの風情もいいんだけどな、と思わずにはいられません。
室内がほの暗くなり、逆に外の緑が鮮やかに見える。むしろ晴れの日よりも「癒し」の雰囲気なのになあ。

そんなことを思いながら、雨の家の写真を選んでみました。
仙台に建つ「青葉の家」。
大きく庇がでている分、晴れの日の華やかさよりもむしろ、雨の日に守られた感じがとても居心地がよくて、独特の安堵感のある家になったように思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

前川秀樹さんの彫刻

2019-06-04 20:28:54 | 陶芸家の家


ある建て主の方との打ち合わせの際に雑談で、彫刻家の前川秀樹さんの個展に行った時の話をお聞きしました。
神秘的な作風の作家で、ちょうど在廊されていた作家本人に会った印象など、いろいろな興味深いお話でした。

僕が初めて前川秀樹さんの作品のことを知ったのは、「陶芸家の家」を設計しているときでした。
建て主の方から、家を建てるにあたりこの彫刻作品を置くことを前提に考えてほしいと言われ、一枚の写真を見せていただきました。その瞬間に僕自身もなにかこう、ぐっと掴まれたような気持ちになったのをよく覚えています。

宗教的な趣のある不思議な作風。髪を風になびかせながらその目は遠くを見つめているようであり、同時に、自己の内奥をじっと見つめているような。
作家自身が流木を拾ってきて、そこからインスピレーションを受けて造形が決まっていくそうですが、そんな背景にもなにか思いを馳せるものがあります。

いろいろと考えた末に、陶芸の工房と住居の間にある階段ホールの真ん中に、前川秀樹さんの彫刻作品を置くように設計しました。
一日のなかで何度もこの彫刻に出会い、周りを巡る動線からあらゆる角度で彫刻を眺められるようになっていて、波打つような天井の天窓から彫刻に光が降り下りてきます。



彫刻の目線の先には西向きの窓があって、一日が終わりに近づくにつれ、明るさが増していき、そして静かに闇に沈んでいきます。
窓の先には古い神社の参道があって、路傍の大きな古木の気配が感じられます。

流木から生まれたこの彫刻が、東京のある街にたどり着いて、その場所に流れる時間の記憶のなかにそっと寄り添っていく。
そんなイメージが、前川秀樹氏の彫刻の深遠な眼差しにそぐうものであることを祈りつつ、この場所を形作りました。

前川秀樹さんご本人から、彫刻作品の制作意図を直接うかがったわけではないけれど、作品に出会った個々人が、それぞれの解釈やイメージやストーリーを受け取ってもいいのではないかと思います。
そんな風に作品と「対話」するのは、とても楽しい時間でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする