写真は、「片倉の家」の室内。天井は徐々に下がってきて、窓辺の天井高さは約180センチほどの、背丈よりも少し高いくらいに抑制されています。
それが、何か包み込まれるような居心地の良さをつくりだしてくれます。
無垢のブラックチェリーの床板に、ペンキ塗りの壁と天井。たったそれだけの窓辺の空間に、ダイニングテーブルがポンとひとつあるだけの、簡素な室内。
素材が少ない分、それぞれの風合いが引き立ちます。
ダイニングテーブルは、山桜の木を使って家具職人に作ってもらいました。
窓の外の風景が見えるのもよいけれど、風景が見えず、自然光だけがはいってくる室内の雰囲気も、ぼくはとても好きです。
たとえば障子を閉めた時。
深い陰影とともに、しんとした静けさが訪れます。窓からは障子越しに抑制された光がじわっと入ってきて、テーブルや床板の木目がぐっと引き立ちます。
この窓辺があればいい。そんな風に思える充実感があり、同時に、なんだか眠くなってくるような安心感があります。
窓の外では、雨足が強まってきました。もうすぐ大きな台風がくる予報。
家は安心できる場所でありたい。つくづくそう思います。