冬にしか表れない色があると思います。
写真は京都・桂離宮。
冬だけに訪れる独特の寂びた色合いを見ていると、心が静かになって落ち着いてきます。
北大路魯山人のいう「枯淡・無名色」というのは、こんな感じのことを指すのでしょうか。
塗料の色見本帳にはなかなか登場しがたい色ですが、もしあったとしても、ペンキ塗りで壁一面をごってり塗ってしまっては、このような枯淡な雰囲気は出ないのでしょう。
感覚というのは、難しいものです。
梅雨の雨もしとしとと降る分には風情がありますが、最近の異常な降り方を見ていると、やはり気候変動が進んでいることを実感する思いです。きっとこれから、雨の量も増えていくのでしょうか。なるべく雨と仲良く付き合うような暮らし方をしたいものです。
雨の日に特有の風情があると思います。晴れの日の華やかさが影を潜め、本来そこにある気配が覚醒するかのような。そんな感覚になったことがありました。たとえば、中部イタリアのアッシジで。またたとえば京都の大徳寺で。
緑というのは不思議なもので、晴れの時よりもむしろ鮮やかに感じられます。そんな中を歩んでいくアプローチは素敵です。
雨の日は傘をさしながら、なんとなくうつむき加減で歩くように思います。その目線の先の舗装を見ると、その美しさにはっとさせられることがあります。
写真はいずれも京都・大徳寺の高桐院にて。大徳寺境内の塔頭のなかで、いつでも公開している4つの寺院のうちのひとつ。紅葉の季節が有名ですが、雨の日がいちばん美しいと思います。