建物の設計というのは、つまるところ材料と寸法を決めることにあります。
それが設計図面に記載され、物事の輪郭線として描き表されます。
でも、空間に魅力や彩りを与えるのは、むしろカタチのないもの、輪郭線として描き表されないもの、というふうにも思います。
たとえば、色が剥げて古色を帯びた木のドアの風合い。
たとえば、ロールスクリーンに映り込む木漏れ日のゆらめき。
実体としての姿カタチがないもののなかに、空間の魅力の本質が詰まっている。
建築を設計するというのは、そうしたカタチ無きものに目を向けることなのかなと思っています。