車のスタイルや色にお国柄が表れるのと同じように、自転車にもお国柄のようなものが表れるように思います。
最初にそれを実感したのは、1992年の中国・北京。都市風景が大きく変貌する直前の当時の北京には、ものすごい数の自転車が溢れていました。印象としてはたしか、暗色のものが多く、ブレーキやチェーンカバーのあたりが、かなり即物的な印象で、そう、新聞配達に使われるような「仕事」モードの自転車が多かったような気がします。
今の日本では、いわゆる「ママチャリ」からロードレーサーまで、実に多くの種類の自転車が街中を走っていますね。色もさまざま。衣服が汚れない実用重視のものから、スピードを楽しむものまで、スタイルもさまざまです。
海外旅行に行くと、その国の自転車事情のようなものが、ちょっと気になります(笑) ドイツ・ベルリンでは、とにかく足がつかないだろこれ、みたいな大きな自転車ばかりなのに圧倒されました。同時に、泥ヨケはほぼ100%ついており、ライトも大振りなものがつけられ、荷台がついているものも多かったように思います。色も地味目で、「走る道具」としての質実なスタイルに、ついついお国柄を感じてしまったのでした。ついでに、多くの部分で自転車と歩行車のレーンが分けられており、みんなそれをきっちり守る。自転車レーンをうっかり歩いていたら、通りすがりの自転車の人に「ここは自転車専用だ!!」みたいな感じでしっかりお叱りを受けました。そんなところも、お国柄でしょうか?
街中を車があまり走れないイタリア・フィレンツェでは、街中を自転車が主役のようにして行き交います。素朴で、どこか柔らかく味わいのある色、カタチ。そんな自転車が多かったように思います。
アルノ川にかかる橋の低い欄干。石造りで幅があるので、上に座っても怖い感じはしません。そうか、欄干は座るためにあったんだ。暮れゆく夕日を眺めつつ、地元のお兄さんが自転車を停めて、携帯でおしゃべり。さしてカッコつけたわけでもない自転車。よく見ると南京錠のカギ。そんなものがしっくりとはまる風土と生活というのは、うらやましいなあと思います。