ともにあるもの。

2022-11-20 22:34:52 | 阿佐ヶ谷 古木と暮らす家


「南阿佐ヶ谷の家」の一年点検へ。
この家は、祖父が大事に育てた庭を残して建て替えました。祖父の庭木に寄り添うような居場所をつくるのが、設計当初からのテーマでした。

暮らしが始まって1年。大きな窓には古い庭木が広がります。
秋も少しずつ深まって枯れた風情が出てきているのも素適でした。
窓辺はⅬ型コーナーになっていて、ゆったりとしたソファが置かれています。
ここにいると、うっかりとうたた寝してしまうんですよ。
施主がそんなふうに話されていました。

時折、ヒュッゲという言葉を思い返しながら家の設計をしています。
ヒュッゲとはデンマークで古くから使われてきた言葉だそうですが、日本語に訳すと、ほっこりする、というような意味合いになるようです。
庭木に寄り添うように、祖父の思いでも身近に感じながら暮らす。

そんな平穏で静かな雰囲気を、秋の気配がやさしく彩っていました。
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階段の風景

2022-02-15 22:24:33 | 阿佐ヶ谷 古木と暮らす家


「阿佐ヶ谷の家」の階段の風景。
木でできた階段と、白い壁。
あるのはひとつの正方形の窓、だけ。

そこから見えるのは、古くから残る百日紅の木。
百日紅は花の季節が長く、工事の最中も暑い夏を通り越してなおしばらく、目を楽しませてくれました。

家ができあがって階段にも静けさが戻りました。ほの暗さのなかに、窓から穏やかな光が入ります。
どうだ、とばかりに風景が見えるのではなく、暮らしのなかでちょっと見えてくれたらいい。
追憶、という言葉に寄り添うような空間になりました。
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古木のアプローチ

2021-11-19 22:51:06 | 阿佐ヶ谷 古木と暮らす家


ひきつづき「古木と暮らす家」のこと。
道路に面した前庭に、古い庭木が残されています。
玄関へは、その古木の傍らを通ってアプローチします。
午前中は木陰のある小径。
なんだか、そこを通るだけでほっとする感じです。

イタリアやスペインで見かける、路地に面した小さな礼拝堂。
たいていそれらは、玄関前に古い木が植わっていて。
ずっと見守ってくれているような雰囲気があって、ぼくにとってはとても好きな原風景です。

この住宅の設計にも、そんな想いが入り込んでいたんだろうなあと思います。
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引き渡し前の。

2021-11-09 22:58:31 | 阿佐ヶ谷 古木と暮らす家


「阿佐ヶ谷 古木と暮らす家」。
引き渡し前の束の間、写真を撮りながら空間にひとり佇む。
この家には古い庭木があって、庭に大きく開かれた窓から一日中、向きを変えながら木漏れ日が室内にはいってきます。
なにかに見守られているような感覚。

真新しい家だけれど、どこか懐かしくて、安心感があります。
それもヒュッゲということでしょうか。
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木漏れ日のある現場

2021-11-01 22:12:49 | 阿佐ヶ谷 古木と暮らす家


阿佐ヶ谷で建てている現場が佳境に入っています。
御祖父様が大切に育ててこられた庭木を残し、寄り添うように建てた家です。
すべての庭木を残すことはできなかったけれど、それでもいくつかの主要な木々を残すことができました。

足場が外され、家の外観が姿を現しました。
と言ってもこの家での主役は、新しくできた建物の外観よりも、むしろ古くから残る庭木です。
簡素で静かな雰囲気の外観は、古い庭木の背景となり、樹影が壁に映り込みます。

古い家。
人工的な新建材が流通する以前に建てられた家のもつ、素朴で確かな物の質感。
建て替えることになったけれど、経てきた時間にそっと繋がるように、新しい家でも新建材はなるべく使わず、自然素材を多用することになりました。
それはキッチンでさえも。



家の中心に配されるキッチンは、タモの無垢の木で作られることになりました。
手掛けるのは、無垢の木を活かしたキッチン製作を得意とする家具工房 フリーハンドイマイさん。
上の写真は、キッチンのカウンターを裏返してあるところ。
カウンターが大きく張り出すデザインですから、ちょっとかがんで見上げるとカウンターの裏面が見えます。
そこに突然ベニヤ板などが見えると残念ですよね。だから、ここにも無垢の木がしっかりと使われています。
確かな物作りの片鱗が見えて、設計者としても嬉しくなってしまいます。

工事中の室内にも木漏れ日が入る、穏やかな雰囲気の現場が、もうすぐ終わろうとしています。




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