JR川口駅前にある「キュポ・ラ」広場に、ぼくが独立して設計アトリエを立ち上げて、初の実作があります。
それは建物ではなく、時計塔モニュメント。
新しくできた広場にあわせて時計塔モニュメントを募るデザインコンペが開かれ、ぼくの応募案が採用され実現したのでした。
鋳物の街・川口を表象するデザインが求められたものでした。柱部分を覆う素材は鋳物で、川口の文字が象形文字のようにして浮かび上がるようなデザインにしました。
案の採用後、実現に向けて主催者側とのミーティングが重ねられましたが、そのなかで、どの方向からも時計が見えるように、という意向を伝えられ、柱の頂部には3つも時計がつくことに。
電波時計とよばれるこの時計は高価で、柱本体の造作に関わる費用も結果的に削られることに・・・。
なにしろ独立当初は、実作を残すことに渇望していて、そんなデザイン変更の流れを受け入れたのでした。
下の写真はコンペ案の模型です。広場の待ち合わせ場所として、人々が時計塔のまわりに集まっているような光景をイメージしていました。
側面に張り出された時計が、レトロなモニュメント感を引き出してくれているようで気に入っていたのですが、これは実現することがありませんでした。でも見てみたかったなあ。
昨年の東京オリンピックの記念イベントの一環として、東京オリンピック1964の国立競技場 聖火台が、鋳造地の川口に凱旋することになり、しばらくこの広場に展示されていました。
あの有名な聖火台に並んで、時計塔が!!
これはちょっと萌えました(笑)
実現するということは、腑に落ちないこともあるけれど、喜ばしいこともあるものです。