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富士市に建つこの住宅は、郊外の風景のなかに、さしたる飾り気もなく即物的な佇まいをもっています。
モランディの風景画のように。あるいはロマネスクの小さな教会のように。
いずれこの土地の前には大きな幹線道路が通るのですが、それと距離を置くようにして中庭のある住宅です。
これから、建物の周りには木々が植えられ、その樹影が外壁の上をゆらめくことでしょう。
そんな風情を待つようにして、この家は建っています。
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家の中に入ると、東西に抜ける大きな窓がシンプルにあります。
西側の窓は出窓になっていて、外に木々が植えられると、その緑をとても身近に感じられるようになります。
午後の陽に照らされて、木洩れ日が室内にゆらめくようになるでしょう。
無垢の木の床フローリングと、少しグレーがかった壁と天井に、そんな風情が映り込む。そんなことを思い描いています。
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そして、施主の仕事場を兼ねたこの家では、自然光の印象的な窓の部屋があります。
ここには施主が所有する、古い教会から譲り受けた長椅子が置かれる予定。
そんな古い事物を待つ空間。
今はまだできあがったばかりの家に、やがて生活がはじまって、そんな風情が現れるのが楽しみです。
でも、それを待つ束の間の静けさに身を置くのも、建築家としては楽しみな時間です。