渋谷の近年の変貌ぶりには驚かされます。もともと渋谷の喧噪はどうも苦手で、訪れる頻度は少ないのですが、最近、渋谷駅近傍の宮下公園に行く機会がありました。
古くからある都市公園ですが、その残余空間のようなスペースは、建築学生の卒業設計のテーマとしてもうってつけで、きっとこれまでかなり多くのデザイン提案があったことと思います。
それが近年リニューアルされ、きっと実際の設計に携わった関係者は、卒業設計のような気分をほんの少しは楽しんだ(?)かもしれません。
かつての宮下公園は、なにか工夫された空間とも呼び難く、なんとか明るく振舞おうと虹色の装飾なんかがあったりするところに、落書きや劣化によって殺伐さが際立っていたように思います。
でも、新しくリニューアルされた宮下公園はショッピングモールやフードコートを併設し、かつての用途や雰囲気とは大きく変わりました。
フードコートの外にあるベンチに出てコーヒーを飲みながらの一息。
目の前には切りっぱなしのネットフェンスや手すり、剥き出しになった配管、ダークトーンの即物的で退廃的なイメージ。
かつては本気の退廃があった場所が、退廃的なイメージを楽しむ場所になったということでしょうか。
デザインは退廃的だけれども、屋外のベンチも座りごごちが良いし、広々として清潔。
街の喧噪も程よく感じながら飲むコーヒーは、美味しいと思いました。