「世界の椿館・碁石」の温室に「コチョウワビスケ(胡蝶侘助)」と書かれたツバキが植えてありました。花が開き切らず筒状にとどまるものがワビスケ(侘助)系ツバキ(椿)の特徴だそうですが、このツバキも「猪口咲き」です。
日本でのツバキの栽培は、安土桃山時代までさかのぼるそうですが、ワビスケはその最も早い時期から栽培されてきた園芸品種だそうです。
ツバキは「茶花」として好まれてきましたが、中でも茶人が好んだと言われているのは、これから咲こうとしている開きかけの蕾だったそうです。但し、侘助椿のような一重で花の小さなものは、開花したものが好まれたとか。「ワビスケ」は、茶人たちが特に好んで茶席の花として生けたため、ツバキの中でも特別のものになったそうです。
「ワビスケ」の名の由来は諸説ありますが、そのひとつ、閑寂を楽しむ「侘び」と芸事を意味する「数寄」とが複合した言葉だという説もあるそうです。
「コチョウワビスケ(胡蝶侘助)」は、花は小輪で濃い赤に白杢(しろもく)入りの花をつけるので、「ニシキワビスケ(二色侘助)」とも呼ばれるそうです。江戸期に「侘助」と呼ばれていたのは、この「コチョウワビスケ」。生長した木では、正常な葯を持った大きい花もつけるようになる。開花は3~4月。
なお、紅色地に白斑が抜けたものは「コチョウベニワビスケ(胡蝶紅侘助)」という。
以上、下記のWebサイトに記載されている文章から転載しました。
http://www.uji-sni.jp/hanasanpo/hana157.htm
[UJI 花散歩 壱百五拾七 閑寂を楽しむ「侘」と芸事の「数寄」-コチョウワビスケ]
また、「シロワビスケ(白侘助)」や「ワビスケ・数奇屋」「ワビスケ・初雁=昭和侘助」の画像も掲載されています。
http://www.uji-sni.jp/hanasanpo/hana130.htm
[茶花として好まれる-シロワビスケ]
http://www.uji-sni.jp/hanasanpo/hana136.htm
[侘って感じの上品さ-ベニワビスケ]
http://aquiya.skr.jp/zukan/Camellia_wabisuke.html
[草木図譜 ワビスケ・胡蝶侘助、ワビスケ・白侘助、ワビスケ・数奇屋、ワビスケ・初雁=昭和侘助、ワビスケ・姫侘助、ワビスケの定義、ウラクツバキ(有楽椿)=太郎冠者=有楽(ウラク)]
コチョウワビスケ(胡蝶侘助)ツバキ科 ツバキ属 Camellia wabisuke Kocho-wabisuke
花は桃紅地に白斑の一重、猪口咲き、極小輪、成木は同株で大小の花が生じる。侘芯、花は小さく、花粉の出る正常花は大。葉は蝶楕円、中形。樹は立性、伸び小。[
来歴]1704年の狩野常信の写生図が最も古い。
(以上、誠文堂新光社・発行、日本ツバキ協会・編「日本ツバキ・サザンカ名鑑」より転載しました。)