© エキレビ 提供 「朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第107回「みんな間違うんです」るいに赦された雪衣が空へと旅立つ」の画像
※本文にネタバレを含みます
どす黒い気持ちだった雪衣、もう安子としか思えないアニー
アニー（森山良子）は安子？ 安子じゃない？ どっちどっち？ と引っ張って、ついに安子であろうことが濃厚になってきた。
【レビュー一覧】朝ドラ『カムカムエヴリバディ』のあらすじ・感想（レビュー）を毎話更新（第1回〜107回掲載中）
『カムカム』は誰が観ても謎が解けるように描いてある。わかることは最高のカタルシス。わからないとストレスになり、劣等感に苛まれ番組が嫌いになることもある。その点、『カムカム』は誰もが流れに追いつけるように、謎解きを楽しめるように描いてある。
これまでドラマを観続けていれば、アニー＝安子 のヒントがたくさんあることに気づく。背格好。おしゃれ。赤いものを着ている。ショートカットがるいに似てる。岡山に関係がある。思わせぶりな反応、台詞等々。
第107回では雪衣（多岐川裕美）が入院、るい（深津絵里）が見舞いに来て、昔の話を思い出して、「ごめんなさい、安子（上白石萌音）さん」とつぶやいたあと、京都のひなた（川栄李奈）の元にアニーが現れる。ここがまたヒントくさい。その後、もう回答でしかないようなことが起こる。
SF時代劇『サムライ・ベースボール』が公開目前、プロモーションで来日したアニーは以前、ひなたが差し入れた回転焼きが美味しかったと告げる。どうやったら美味しくできるか聞くと、ひなたは小豆のおまじないを英語で唱える。
そこに挟まる回想は、最初は、ひなたとるいの思い出。やがてそれは安子とるいとロバート（村雨辰剛）のものになる。安子とるいの記憶がひなたにはないから、誰のビジョンかといえば、アニーであろう。顔色を変えて裸足で走り出すアニー。あまりに怪しい。あと1週間。最終週を残すのみ。
一方、岡山。雪衣が過去を懺悔する。幼いひなたの傷を顕（あらわ）にさせて、安子は彼女をひとりで育てることを諦めたと呪いのような言葉を語った雪衣（岡田結実）。絶対、魔女の呪いに思えたものの、真意は明確にされていなかったが、あのとき、雪衣は「どす黒い気持ちが湧いてきた」と何十年も経過してようやくそのときの心情を語る。
でも何十年も経って多岐川裕美になった雪衣は優しい上品な人になっていて、過去を大いに後悔していることがわかる。当時の衝撃はかなり薄らぎ、人は変わるのだと思わせる場面。
雪衣がどす黒さを認めたことで、安子の清らかさが際立つ。るいが安子を疑っていたことがここで晴れた気がする。るいは「みんな間違うんです」と雪衣を赦（ゆる）す。彼女の言う「間違い」はおそらく、るいも安子に間違えて「I hate you」と拒絶してしまったことを赦されたいと心から願ったのだろう。徐々に安子らしい人が近づいてきている。るいの額の傷も若干、見えている。最終週ではるいのいろいろな意味での傷が完全に癒えるときが来ると信じている。
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朝ドラ第一作から観ていた雪衣が勇（目黒祐樹）と観た最後の朝ドラは第69作『てるてる家族』（2003年度後期）。毎回のようにミュージカル仕立ての場面が入る凝りに凝った作品だった。明るく楽しくじんわりするドラマで、雪衣も安らかな気持ちになれたことだろう。
『おはよう日本 関東版』では高瀬アナがこの日で番組卒業。絶大な人気を誇った高瀬アナによる「朝ドラ送り」も最後。『あさイチ』では川栄李奈がゲスト出演。トークしている川栄李奈のようにひなたも演じたらよかったのに。なんで安子とるいと違って、子ども時代から一貫してがやがやとした3枚目ふうだったのだろうか。（木俣冬）
カムカムエヴリバディ：最終回まであと1週間 “ひなた”川栄李奈が「あさイチ」登場 「あの方」もサプライズで（MANTAN Inc. 022/03/31 22:40 ）
