ピカビア通信

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イーストウッドの西部劇

2012年01月13日 | 映画

 

無料映画でも久しぶりのGyaoで、イーストウッドの「アウトロー」を配信してたので観る。今回で4回目くらいだと思う。南北戦争末期の西部劇で、自身の監督作品としては「荒野のストレンジャー」に次ぐ二番目の西部劇ということになる。二時間を越す作品で、彼の主演作「夕日のガンマン」「荒野の用心棒」と同じようなものを期待すると裏切られることは間違いない。それだけこの作品も、しっかり、監督イーストウッドの作品になっている。

話は一応復讐譚。例によって、孤独でしかもめっぽう強い主人公が、最終的には復讐を果たすという定型話である。基本的には「荒野のストレンジャー」「ペイルライダー」「許されざる者」全てに共通する話である。現代版であれば、かなりの高評価を得ている「グラントリノ」(現代版ゆえ個人的にはイーストウッドの中ではそれほどでもない)なども同じような内容だ。だから、実際観ていると、この場面はこっちの映画だったかと思い違いをしていることに気付かされることもしばしば。小津作品でも良くあることだ。となると、どれ観ても同じということにも成りかねないが、そういうものではないのである。

どの作品でも、言われなき差別を憎み異文化を受け入れる監督の視点は共通、しかし、それぞれの映画はそれぞれの違うショットで描かれている。例えて言えば、同じ画家が同じモチーフでいくつも作品を作るが、それと同じことである。それぞれはやはり違う作品なのである。イーストウッドの西部劇は、多分、昔ながらの西部劇ファンにはそれほど評判は良くないと思うが、本当の映画好きからの支持は受けるはずである、と言いたいところだがそんなこともないことは分かっております。

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