ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】マサチューセッツ工科大学

2006年03月11日 08時19分13秒 | 読書記録2006
マサチューセッツ工科大学, フレッド・ハプグッド (訳)鶴岡雄二, 新潮文庫 ハ-36-1, 1998年
(Up The Infinite Corridor by Fred Hapgood)

・MIT(Massachusetts Institute of Technology)の成り立ちについてのノンフィクション。
・文章がいかにもアメリカっぽく、そのまわりくどい言い回しや、ジョークについていけないことがしばしば。『これは笑っていいところなのか?』
・『ハーバードやスタンフォードではなく、なぜMITなのか?』 基本的な動機がいまいちわからず。このように単独の大学についての本がでるということは、アメリカ人にとってそれだけ特異な印象をもつ大学であるということなのだろうけど。
・「本書を書くうえで、著者が直面したもっともむずかしい問題は、エンジニアの男女比が劇的に変化する可能性がどのていどあるか、あるいは、そもそも変化する可能性があるかどうかを判断することだった。」p.4
・「エンジニアリングの精神的な奥行きに気づき、それを探求した最初の人間と目されるロバート・パーシグは、その『禅とオートバイ修理技術』のなかで、「窮した感覚」こそがカギであり、ことの核心であり、「禅僧が公案や呼吸法や座禅などを通じて、多大な苦労をして呼びよせようとする、あの虚無そのものである」と主張している。」p.18
・「この大学の文化について考察をめぐらせるうえでもっとも有効な視点は、「全体の心理」から「部分の物理」へと広がる、人間の感覚の多様性を考えることだろう。」p.33
・「ハリー・ウェスト教授はいう。「わたしが知っている最高のエンジニアは、かつていちども独創的なアイディアなど思いついたことがない。彼がしたのは、あちこちぶらぶら歩きまわって、いろいろな人間の話をきき、そして――」(中略)「――そして、それを組み合わせただけだ。彼は"創造的"といえるかね?」」p.35
・「エンジニアの立場からいうと、発明者自身には思いもよらなかった用途で使われたときに成功したものが、真に偉大な設計なのである。」p.88
・「エンジニアリング・サイエンスは、膨大な知識を蓄積したが、斬新な道具を生みだすペースは落ちているように見える。」p.124
・「「時計のことを学ぶには、それを修理するのがいちばんよい」」p.162
・「分子工学者というのは、ベルをたたく打楽器奏者なのだが、そのハンマーは二五五ミリ砲なのである。」p.218
・「「脳としてのコンピューター」モデルは、神経生理学にほんのささやかな貢献しかできなかった、とミードは言う。その理由は、(一部の哲学者が考えたように)脳を模倣することが不可能だからではなく、脳とコンピューターの類似が不十分だったことにある。」p.250
・訳者あとがきより 「「ハイテク」関連の書籍というのは、ある友人の表現を借りると、おおむね「高血圧」の表現をとっている。騒々しいハイテク・グルーピーとは対照的に、きわめて冷静な、低血圧アプローチをとっていることが、個人的には本書の最大の美点と考えている。」p.271
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?かんせい【陥穽】 おとしあな。人をだましたり、失敗させたりするための計略。わな。はかりごと。
?ふき【不羈・不羇】 束縛されないこと。また、才能や学識があまりにもすぐれていて、常規では律しにくいこと。「奔放不羈」「不羈の才能」
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