七つの黒い夢, 乙一 恩田陸 北村薫 誉田哲也 西澤保彦 桜坂洋 岩井志麻子, 新潮文庫 お-69-51(7899), 2005年
・カバー紹介文より「新感覚小説の旗手七人によるアンソロジー。ささやかな違和感と奇妙な感触が積み重なり、遂に現実が崩壊する瞬間を描いたダーク・ファンタジー七篇。」
・執筆陣では「乙一」が名前を知っているくらいで、他の六名は名前を聞いたことがあるような無いような。その作品は全員未見です。皆さん、私が手を出さないジャンルの方々なのでしょう。本を読んでいるようでいて、全然読んでいないものです。
・手軽にいろいろな作家の作品をツマミ食い、味見することができます。残念ながら「別の作品も読んでみたい!」と思わせる作家は見あたりませんでした。
●1 『この子の絵は未完成』乙一:幼稚園児の息子が描く「匂いを発する画」が巻き起こす騒動。
●2 『赤い毬』恩田陸:謎の少女と毬つきをして遊んだ幼い頃の不思議な記憶。
●3 『百物語』北村薫:一組の若い男女が、酔って暇つぶしに始めた百物語。その結末とは?
・「いろいろと話が出ましたけれど、本当に恐いのは、わけの分からないもの。見えるものよりは見えないもの。そうですよね。とすれば、自分て恐くありません? 額や顎、うなじや頭の上なんて、自分では絶対に見えませんよね。それって、凄く、恐くありませんか。一番近いのに、決して見ることができない。 それどころじゃない。眠ると自分が消えますね。何をしているのかどころか、どうなっているのかも分からない。」p.61
●4 『天使のレシート』誉田哲也:コンビニ店員「天使さん」にほのかな想いを懐く男子中学生。
・「分かりやすく言ったら、神なんてゲームのプログラマーみたいなもんよ。人間は設定されたキャラクター。それも、うじゃうじゃいっぱい出てくるザコキャラだよ。そんなの死んでなんぼでしょ。そんなの、一々プログラマーがどうにかする? 助けたりする? それって、死んで初めてゲームの展開に貢献できる、そんな程度の存在なんじゃないの?」p.87
・「プログラマーが作った所までしかゲームのフィールドがないように、宇宙っていうのは、神が作った場所までしか存在しないの。ないったらないの。その先は絶対にないの。」p.87
・「黒いダウンジャケットの背中、その裾からすらりと伸びたジーンズの足。伸照は今まで、自分がほとんど恭子の顔しか見ていなかったことに気づいた。何を着ているのか、いま初めて知ったような気がする。」p.90
●5 『桟敷がたり』西澤保彦:女の子を狙った悪戯電話と航空機爆破予告。犯人は誰? 主人公の推理が冴え渡る。
●6 『10月はSPAMで満ちている』桜坂洋:派遣先はSPAM業者。コンビニで魚肉ソーセージを買うのは誰なのか?
・「ヒルズにあるたったひとつのトイレの面積よりも、このビルのワンフロアの面積のほうがぜったいに狭い。今日の昼飯を賭けてもいい。ぼくは思った。」p.158
・「たぶん、ぼくという人間は、ぼくという人間の価値が、普通かそれ以下しかないのだということを認めたくないのだと思う。人並みにしか努力していないくせに、心の奥底では人並以上の結果を手に入れることを欲しているのだ。それも、買ってもいない宝くじにあたるとか、ファストフード店で突然美女に愛の告白をされるとか、そんな受け身の結果では満足できないのだ。人並程度の努力で人並以上の結果を手にいれる。そんな希望を持っていたのだと思う。」p.160
・「「そ。毎日。欲しい人間が絶対に欲しいものがあったら苦労して入荷を維持しなきゃならないのがコンビニ資本主義。POSシステムとはそういうもの」 「維持してなんの意味が?」 「ないと、いざってときに困るかも」」p.165
・「抽出した嘘を繋ぎ合わせて逆さにすると、真実が見えてくる」p.187
・「新しい技術をまっさきに活用するのはピンク産業と戦争と決まってる。現場の最先端に触れたければそこに行くしかない。」p.190
●7 『哭く姉と嘲う弟』岩井志麻子:嫁いで行ってしまった姉に恋焦がれる弟の、甘く、妖しい回想。
・カバー紹介文より「新感覚小説の旗手七人によるアンソロジー。ささやかな違和感と奇妙な感触が積み重なり、遂に現実が崩壊する瞬間を描いたダーク・ファンタジー七篇。」
・執筆陣では「乙一」が名前を知っているくらいで、他の六名は名前を聞いたことがあるような無いような。その作品は全員未見です。皆さん、私が手を出さないジャンルの方々なのでしょう。本を読んでいるようでいて、全然読んでいないものです。
・手軽にいろいろな作家の作品をツマミ食い、味見することができます。残念ながら「別の作品も読んでみたい!」と思わせる作家は見あたりませんでした。
●1 『この子の絵は未完成』乙一:幼稚園児の息子が描く「匂いを発する画」が巻き起こす騒動。
●2 『赤い毬』恩田陸:謎の少女と毬つきをして遊んだ幼い頃の不思議な記憶。
●3 『百物語』北村薫:一組の若い男女が、酔って暇つぶしに始めた百物語。その結末とは?
・「いろいろと話が出ましたけれど、本当に恐いのは、わけの分からないもの。見えるものよりは見えないもの。そうですよね。とすれば、自分て恐くありません? 額や顎、うなじや頭の上なんて、自分では絶対に見えませんよね。それって、凄く、恐くありませんか。一番近いのに、決して見ることができない。 それどころじゃない。眠ると自分が消えますね。何をしているのかどころか、どうなっているのかも分からない。」p.61
●4 『天使のレシート』誉田哲也:コンビニ店員「天使さん」にほのかな想いを懐く男子中学生。
・「分かりやすく言ったら、神なんてゲームのプログラマーみたいなもんよ。人間は設定されたキャラクター。それも、うじゃうじゃいっぱい出てくるザコキャラだよ。そんなの死んでなんぼでしょ。そんなの、一々プログラマーがどうにかする? 助けたりする? それって、死んで初めてゲームの展開に貢献できる、そんな程度の存在なんじゃないの?」p.87
・「プログラマーが作った所までしかゲームのフィールドがないように、宇宙っていうのは、神が作った場所までしか存在しないの。ないったらないの。その先は絶対にないの。」p.87
・「黒いダウンジャケットの背中、その裾からすらりと伸びたジーンズの足。伸照は今まで、自分がほとんど恭子の顔しか見ていなかったことに気づいた。何を着ているのか、いま初めて知ったような気がする。」p.90
●5 『桟敷がたり』西澤保彦:女の子を狙った悪戯電話と航空機爆破予告。犯人は誰? 主人公の推理が冴え渡る。
●6 『10月はSPAMで満ちている』桜坂洋:派遣先はSPAM業者。コンビニで魚肉ソーセージを買うのは誰なのか?
・「ヒルズにあるたったひとつのトイレの面積よりも、このビルのワンフロアの面積のほうがぜったいに狭い。今日の昼飯を賭けてもいい。ぼくは思った。」p.158
・「たぶん、ぼくという人間は、ぼくという人間の価値が、普通かそれ以下しかないのだということを認めたくないのだと思う。人並みにしか努力していないくせに、心の奥底では人並以上の結果を手に入れることを欲しているのだ。それも、買ってもいない宝くじにあたるとか、ファストフード店で突然美女に愛の告白をされるとか、そんな受け身の結果では満足できないのだ。人並程度の努力で人並以上の結果を手にいれる。そんな希望を持っていたのだと思う。」p.160
・「「そ。毎日。欲しい人間が絶対に欲しいものがあったら苦労して入荷を維持しなきゃならないのがコンビニ資本主義。POSシステムとはそういうもの」 「維持してなんの意味が?」 「ないと、いざってときに困るかも」」p.165
・「抽出した嘘を繋ぎ合わせて逆さにすると、真実が見えてくる」p.187
・「新しい技術をまっさきに活用するのはピンク産業と戦争と決まってる。現場の最先端に触れたければそこに行くしかない。」p.190
●7 『哭く姉と嘲う弟』岩井志麻子:嫁いで行ってしまった姉に恋焦がれる弟の、甘く、妖しい回想。