呼吸の奥義 なぜ「吐く息」が大切なのか, 永田晟, 講談社ブルーバックス B-1313, 2000年
・呼吸のイロハについて。"奥義" などと仰々しい文句がタイトルについているが、内容は至って平凡。呼吸の仕組み、スポーツと呼吸、健康と呼吸などをテーマに浅く広く語られている。最終章の『呼吸運動のトレーニング』に興味があったがちょっとした紹介にとどまり、物足りない内容。しかし、これをきっかけに "呼吸" に興味を持つことに。
・深呼吸の方法の「まず吐くこと」には目からウロコ。また、「全身に金粉を塗ったままにしておくと皮膚呼吸が出来なくなって死んでしまう」という俗説も信じ込んでいた口でした。
・「私はこれを機会に、気功の動作を分析し、その効果と機序について少しずつデータを積み重ねてきた。こうして、息を吐き出しつづけることは、とくに副交感神経が優位に働いて自律神経系のバランスを改善し、さらに高次脳神経機能の鎮静化をまねくことがわかってきた。 さらに、正しい呼吸法はストレスに強い心身をつくることも知った。」p.3
・「この「酸素を取り入れ、炭酸ガスを排出するはたらき」が「呼吸」である。 したがって一口に「呼吸」といっても二種類ある。まず、肺のなかで体外の空気(酸素)と体内の血液中の炭酸ガスとを交換する「肺(外)呼吸」。もう一つは、体内の各臓器や末端の組織(末梢組織)で、毛細血管中の血液と細胞との間でおこなう「組織(内)呼吸」である(1-1)。 この内外の呼吸を合わせ、酸素や炭酸ガスを中心としたガス(気体)循環と流れの過程を総称して「呼吸」と定義している。」p.16
・「皮膚呼吸では、水に溶けこんでいる空気との間でガス交換をする動物もいる。ヒトでは皮膚呼吸はおこなわれていないが、湿布や貼り薬、塗り薬でもわかるように、皮膚を通した吸収や代謝は見られる。」p.16
・「胸郭を囲む骨組みの前後・左右の動きによって、胸郭の容積を増減させるのが胸式呼吸である。これに対して横隔膜を収縮して短く(押し下げる)したり、ゆるませて長くする(押し上げる)ことによって胸郭の容積を上下方向に増減させるのが腹式呼吸である。」p.24
・「血液中のガスの酸素構成比率は動脈血では約19~20パーセント、静脈血では約13~15パーセントになる。この差の4~7パーセントが、末梢の組織や臓器で消費されたことになる。あまり効率はよくないといえる。」p.50
・「シドニー・オリンピックで金メダルを獲得したマラソンの高橋尚子選手は、普段の心拍数が一分間で約35だという。一般人は約70だから、その半分。つまり一回の拍動で二倍の血液を送り出せるようになっている。」p.57
・「筋力のコントロールは、本来、中枢神経の支配、すなわち意識的なはたらきである。しかし息を止めることで、筋収縮が自律神経にも支配されるようになり、意識して出せる力(心理的限界)以上に筋肉が収縮し、パワーを発揮するのである。」p.59
・「もう一つわかったことは、ブラッドシフトが起きることである。これは、血液が全身にまんべんなく巡るのではなく、心臓や脳など重要な部分に集中する現象で、これによって酸素消費量を極端に少なくできる。」p.74
・「最大の瞬発力を出そうとしたり、技をしかけようとする直前は、すべて息を吐く状態(呼息相)で、決して息を吸う状態(吸息相)ではない。」p.84
・「合気道は古い柔術の流れをくむもので、さまざまな流派の技を取り入れながら発展し、昭和19年に合気道と称するようになった。」p.85
・「つまりあくびによる自然な深呼吸は、ガス交換を促すためというより、笑筋の筋紡錘から、脳へ覚醒のシグナルを送ることが目的のようである。」p.123
・「深呼吸というと、空気をたくさん吸い込むことだと思ってしまいがちだが、これは間違い。健康と自律神経機能のバランス(安定性)から見れば、むしろ空気を吐き出すことが大切である。つまり新鮮な空気を体内に取り込むことでなく、体内の酸素濃度の薄い空気を吐き出し、結果として外気を取り込むことにつながるのである。 伝統医学としての気功やヨーガの深呼吸も、すべて息を吐くことが強調されている。」p.152
・呼吸のイロハについて。"奥義" などと仰々しい文句がタイトルについているが、内容は至って平凡。呼吸の仕組み、スポーツと呼吸、健康と呼吸などをテーマに浅く広く語られている。最終章の『呼吸運動のトレーニング』に興味があったがちょっとした紹介にとどまり、物足りない内容。しかし、これをきっかけに "呼吸" に興味を持つことに。
・深呼吸の方法の「まず吐くこと」には目からウロコ。また、「全身に金粉を塗ったままにしておくと皮膚呼吸が出来なくなって死んでしまう」という俗説も信じ込んでいた口でした。
・「私はこれを機会に、気功の動作を分析し、その効果と機序について少しずつデータを積み重ねてきた。こうして、息を吐き出しつづけることは、とくに副交感神経が優位に働いて自律神経系のバランスを改善し、さらに高次脳神経機能の鎮静化をまねくことがわかってきた。 さらに、正しい呼吸法はストレスに強い心身をつくることも知った。」p.3
・「この「酸素を取り入れ、炭酸ガスを排出するはたらき」が「呼吸」である。 したがって一口に「呼吸」といっても二種類ある。まず、肺のなかで体外の空気(酸素)と体内の血液中の炭酸ガスとを交換する「肺(外)呼吸」。もう一つは、体内の各臓器や末端の組織(末梢組織)で、毛細血管中の血液と細胞との間でおこなう「組織(内)呼吸」である(1-1)。 この内外の呼吸を合わせ、酸素や炭酸ガスを中心としたガス(気体)循環と流れの過程を総称して「呼吸」と定義している。」p.16
・「皮膚呼吸では、水に溶けこんでいる空気との間でガス交換をする動物もいる。ヒトでは皮膚呼吸はおこなわれていないが、湿布や貼り薬、塗り薬でもわかるように、皮膚を通した吸収や代謝は見られる。」p.16
・「胸郭を囲む骨組みの前後・左右の動きによって、胸郭の容積を増減させるのが胸式呼吸である。これに対して横隔膜を収縮して短く(押し下げる)したり、ゆるませて長くする(押し上げる)ことによって胸郭の容積を上下方向に増減させるのが腹式呼吸である。」p.24
・「血液中のガスの酸素構成比率は動脈血では約19~20パーセント、静脈血では約13~15パーセントになる。この差の4~7パーセントが、末梢の組織や臓器で消費されたことになる。あまり効率はよくないといえる。」p.50
・「シドニー・オリンピックで金メダルを獲得したマラソンの高橋尚子選手は、普段の心拍数が一分間で約35だという。一般人は約70だから、その半分。つまり一回の拍動で二倍の血液を送り出せるようになっている。」p.57
・「筋力のコントロールは、本来、中枢神経の支配、すなわち意識的なはたらきである。しかし息を止めることで、筋収縮が自律神経にも支配されるようになり、意識して出せる力(心理的限界)以上に筋肉が収縮し、パワーを発揮するのである。」p.59
・「もう一つわかったことは、ブラッドシフトが起きることである。これは、血液が全身にまんべんなく巡るのではなく、心臓や脳など重要な部分に集中する現象で、これによって酸素消費量を極端に少なくできる。」p.74
・「最大の瞬発力を出そうとしたり、技をしかけようとする直前は、すべて息を吐く状態(呼息相)で、決して息を吸う状態(吸息相)ではない。」p.84
・「合気道は古い柔術の流れをくむもので、さまざまな流派の技を取り入れながら発展し、昭和19年に合気道と称するようになった。」p.85
・「つまりあくびによる自然な深呼吸は、ガス交換を促すためというより、笑筋の筋紡錘から、脳へ覚醒のシグナルを送ることが目的のようである。」p.123
・「深呼吸というと、空気をたくさん吸い込むことだと思ってしまいがちだが、これは間違い。健康と自律神経機能のバランス(安定性)から見れば、むしろ空気を吐き出すことが大切である。つまり新鮮な空気を体内に取り込むことでなく、体内の酸素濃度の薄い空気を吐き出し、結果として外気を取り込むことにつながるのである。 伝統医学としての気功やヨーガの深呼吸も、すべて息を吐くことが強調されている。」p.152