脳アミロイド血管症関連炎症(CAA-RI)と生検陽性の中枢神経系原発性血管炎(BP-PACNS:BPはbiopsy-positive)は類似した臨床像を呈します.両者を臨床的・画像的に鑑別できるか,また再発率は異なるかについて検討した研究がフランスから報告されました.
多施設の後方視的コホート研究です.CAA-RIの診断は,生検または臨床・画像的基準を満たす患者とし,PACNSは病理学的に中枢神経系血管炎が確認され,他の原因を認めないこととしています.画像所見は神経放射線科医が,臨床情報を盲検化して読影しています(図1).
対象はCAA-RI患者104例(平均73歳,女性48%)とBP-PACNS患者52例(平均45歳,女性48%)でした.おもな画像所見と臨床所見を比較した表を作ってみますと,図2の通りでした.つまりCAA-RIの特異度が高かったのは,急性クモ膜下出血,皮質表在性シデローシス,過去の脳内出血,21個以上の半卵円中心の血管周囲腔でした.
Probable CAA-RI criteriaは,両疾患の鑑別において感度71%,特異度91%でした.寛解後2年間の再発率は,CAA-RIの方がPACNSよりも低いことが分かりました(ハザード比0.46,p = 0.04)(図3).
結論として, 特異度の高い画像所見である急性クモ膜下出血,皮質表在性シデローシス,過去の脳内出血,21個以上の血管周囲腔を確認することで,CAA-RIの可能性が高くなります.CAA-RIに高頻度に認められる白質高信号病変や葉状微小出血のみでは鑑別は困難なようで,一部の症例では生検が必要になります.一方,PACNSは頭痛や運動障害がやや多く,また非虚血性脳実質ガドリニウム増強の存在に注目することになります.
Grangeon L, et al. Cerebral Amyloid Angiopathy-Related Inflammation and Biopsy-Positive Primary Angiitis of the CNS: A Comparative Study. Neurology. 2024;103:e209548.(doi.org/10.1212/WNL.0000000000209548)
多施設の後方視的コホート研究です.CAA-RIの診断は,生検または臨床・画像的基準を満たす患者とし,PACNSは病理学的に中枢神経系血管炎が確認され,他の原因を認めないこととしています.画像所見は神経放射線科医が,臨床情報を盲検化して読影しています(図1).
対象はCAA-RI患者104例(平均73歳,女性48%)とBP-PACNS患者52例(平均45歳,女性48%)でした.おもな画像所見と臨床所見を比較した表を作ってみますと,図2の通りでした.つまりCAA-RIの特異度が高かったのは,急性クモ膜下出血,皮質表在性シデローシス,過去の脳内出血,21個以上の半卵円中心の血管周囲腔でした.
Probable CAA-RI criteriaは,両疾患の鑑別において感度71%,特異度91%でした.寛解後2年間の再発率は,CAA-RIの方がPACNSよりも低いことが分かりました(ハザード比0.46,p = 0.04)(図3).
結論として, 特異度の高い画像所見である急性クモ膜下出血,皮質表在性シデローシス,過去の脳内出血,21個以上の血管周囲腔を確認することで,CAA-RIの可能性が高くなります.CAA-RIに高頻度に認められる白質高信号病変や葉状微小出血のみでは鑑別は困難なようで,一部の症例では生検が必要になります.一方,PACNSは頭痛や運動障害がやや多く,また非虚血性脳実質ガドリニウム増強の存在に注目することになります.
Grangeon L, et al. Cerebral Amyloid Angiopathy-Related Inflammation and Biopsy-Positive Primary Angiitis of the CNS: A Comparative Study. Neurology. 2024;103:e209548.(doi.org/10.1212/WNL.0000000000209548)