「神経内科」を標榜できなくなるという話が進行している.以下,朝日新聞(2007年05月16日)の記事を抜粋する.
厚生労働省は、医療機関が名乗ることができる診療科を、現在の38科から20科程度に再編する方針を固めた。細分化して患者にわかりにくくなっている診療科を廃止する一方で、幅広い病気を診断できる医師に公的資格を与え、その医師がいる医療機関には「総合科」(仮称)を名乗ることを認めあることなどが柱だ。患者が医療機関を選びやすくするほか、医療機関ごとに初期診療と専門医療の役割分担を明確にし、医師不足の一因とされる大病院への患者集中を緩和する狙いもある。
厚労省は今月21日、医道審議会に診療科名について検討する専門部会を立ち上げ、再編案を決めていく。08年度からの変更を目指す。診療科の見直しは96年以来。
現在、医療機関が名乗れる診療科は医科33、歯科4のほか、一定の臨床経験を要件に国が許可する麻酔科がある。学会の要望などで細分化が進んだが、患者からは「花粉症だが耳鼻科とアレルギー科のどちらを受診するか迷う」「神経科と神経内科の違いが分かりにくい」などの声があった。
見直しは、各学会による専門医の認定制度を調整している日本専門医認定制機構が定める18の基本診療科をもとにする。内科、外科、小児科など20科程度に絞る方針だ。アレルギー科、神経内科など19科の廃止や、「救急科」など4科の新設を検討する。「内科(呼吸器)」といった得意分野の併記は認める。
あまりにもばかばかしい話だ.「神経科と神経内科の違いが分かりにくい」から神経内科を廃止してしまうだって?もしそうだとしたら,「神経科」を,実情に合わせて精神科として標榜してもらえばよいはずだし,「神経内科」をよく理解してもらえるように努力する方向に進むべきである.たとえば各病院の玄関やWeb pageなどに詳しい説明を一層行うようにし,病院の窓口に各科の診療内容に詳しい担当者を配置すればよいと思う.診療科を削減して総合科を作ったところで医師不足は解決しない.
そして何より,「神経内科」は専門的で独立した診療科であることを強調したい.もし診療科名が廃止されれば,この分野を志す若いドクターが減る可能性さえ危惧される.高齢化社会が加速する中,「神経内科」の専門知識の重要性は増す一方だが,実際には神経内科医の地域偏在は確実に進行していることが先日の神経学会で報告された.今回の方針は将来の神経内科医療をさらに悪い方向に導く可能性があり,何としても阻止すべきであると自分は考える.みなさんのご意見はいかがなものか?
(当面,自虐的にブログのタイトルを変えてみる)
厚生労働省は、医療機関が名乗ることができる診療科を、現在の38科から20科程度に再編する方針を固めた。細分化して患者にわかりにくくなっている診療科を廃止する一方で、幅広い病気を診断できる医師に公的資格を与え、その医師がいる医療機関には「総合科」(仮称)を名乗ることを認めあることなどが柱だ。患者が医療機関を選びやすくするほか、医療機関ごとに初期診療と専門医療の役割分担を明確にし、医師不足の一因とされる大病院への患者集中を緩和する狙いもある。
厚労省は今月21日、医道審議会に診療科名について検討する専門部会を立ち上げ、再編案を決めていく。08年度からの変更を目指す。診療科の見直しは96年以来。
現在、医療機関が名乗れる診療科は医科33、歯科4のほか、一定の臨床経験を要件に国が許可する麻酔科がある。学会の要望などで細分化が進んだが、患者からは「花粉症だが耳鼻科とアレルギー科のどちらを受診するか迷う」「神経科と神経内科の違いが分かりにくい」などの声があった。
見直しは、各学会による専門医の認定制度を調整している日本専門医認定制機構が定める18の基本診療科をもとにする。内科、外科、小児科など20科程度に絞る方針だ。アレルギー科、神経内科など19科の廃止や、「救急科」など4科の新設を検討する。「内科(呼吸器)」といった得意分野の併記は認める。
あまりにもばかばかしい話だ.「神経科と神経内科の違いが分かりにくい」から神経内科を廃止してしまうだって?もしそうだとしたら,「神経科」を,実情に合わせて精神科として標榜してもらえばよいはずだし,「神経内科」をよく理解してもらえるように努力する方向に進むべきである.たとえば各病院の玄関やWeb pageなどに詳しい説明を一層行うようにし,病院の窓口に各科の診療内容に詳しい担当者を配置すればよいと思う.診療科を削減して総合科を作ったところで医師不足は解決しない.
そして何より,「神経内科」は専門的で独立した診療科であることを強調したい.もし診療科名が廃止されれば,この分野を志す若いドクターが減る可能性さえ危惧される.高齢化社会が加速する中,「神経内科」の専門知識の重要性は増す一方だが,実際には神経内科医の地域偏在は確実に進行していることが先日の神経学会で報告された.今回の方針は将来の神経内科医療をさらに悪い方向に導く可能性があり,何としても阻止すべきであると自分は考える.みなさんのご意見はいかがなものか?
(当面,自虐的にブログのタイトルを変えてみる)
Parkinson病などの『神経疾患』を見ていた(今も)
経緯もあり,神経科と神経内科の線引きにデリケート
な面があります.
また,神経内科と神経科の違いを認識しているのは
日本神経学会員と一部の精神科医にすぎず,他科の
医師をはじめとする医療職ですら,認識していない
のが現状です.まして国民や官僚が知る由もありま
せん.日本人口の0.01%以下しか区別できないこと
に問題があり,この点は厚労省の主張の通りです.
英語表記ではneurologyとpsychiatryの2つしかなく
明快です.neurologyを訳せば神経科,神経学です.
メディアなどもneurologistを神経科医と訳して
報道しています.
「神経内科は違うんだ」といくら我々が叫んでも,
99.99%の国民には理解できないのが現実です.
精神科が神経科の看板を譲らないのは,患者様への
配慮が大きく,国民の皆様も『神経科』すなわち
「神経病み(やみ)」の診療科という認識です.
また,神経内科に受診されている私の患者様でも,
待合室の会話では「今日は神経科にかかっている」
とお話しています…ヤレヤレです.
「神経難病」を「重い精神病」だと思われているようです。
学会や厚労省の歴史には詳しくありませんが、「標榜科」の表示をどうするかは、患者にとってかなり重要な問題なのです。
学会も動いてくださっているようですが,なんとか「神経内科」を残す方向に進んでほしいと思います.
古くから神経科と精神科の2つがあったものです.
当局はNeurologyとPsychiatryの2つを用意してある
と言いたいのでしょう.学会主導で勝手に命名した
ことへのイヤミではないとと勘ぐりたくなります.
その昔は,学会も精神神経学会で一体でした.
その後の学問の発展と細分化から,神経内科が独立
したのはご承知の通りですが,その後もPsy科が
「神経科」を標榜し続けたことに問題があります.
先日,熊本県の発行する水俣病の認定診断書を見て
腰を抜かしましたが,記載資格は精神科・神経科の
医師となっています.厚労省は神経内科を精神科・
神経科の派生科と認識しており,精神神経学会以来
数十年の歴史的変遷を無視しています.
厚労省的には神経科=Neurologyであって,神経内科
という呼称こそニセモノという認識ではないでしょう
か.残念ながら,保健行政的には神経科と神経内科は
同じとみなされています.
将来においても、医療の分野での比重は増大することはあっても、減ることはない。
人類と「病気」との闘いの中で、最大の難敵は、「神経難病」と「ガン」であろう。
そして、この二つの困難な疾患は、プロテアソームの発見からさらに研究が進み、細胞内タンパク質の「品質管理」の破綻がもたらす共通の病原の存在が示唆されるようになった。
今や、抗がん剤が、神経疾患に対しても有効性があることを示唆する多数の研究成果があり、また、SBMAにおいては、抗がん剤投与による、ヒトへの第Ⅲ相試験と、長期の第Ⅱ相試験が平行して施行されている。
このことは、神経内科学という専門分野の研究者の存在があっての成果であることを強調したい。
医学における、このような重要な専門分野である、神経内科学を医療として国民に提供する、「神経内科」を、「行政の判断」という、医学とは無関係な論理で押し切るとすれば、とうてい患者の理解を得ることはできないと思う。
ぼくのブログにも、反対意見を述べました。
神経内科は他の内科の分野とまったく違います。基本
診療科に含めるべきです。わかりにくいから、含めないという主張はまったく理解不能です。
日本専門医認定制機構とはどういうメンバー
によって構成された組織なのでしょうか?
各学会の代表者ということのようですが、
政府のバイアスを受けていませんか?
総合科を診療報酬で優遇するとか言ってますね。
問題だと思います。
そんなにうまく振り分けできるのでしょうか?
振り分けに失敗したら責任はどうなるのでしょうか?
最後には自己責任とか言い出すのでは?
患者の勉強不足だと、
一患者です。
感じたことをコメントしたいと思います。
結論は、先生の言うとおり、なんとしても
阻止すべきだと考えます。
医療が高度になってくれば来るほど、
今後も、ますます専門性が高くなり、
専門医が必要となってくるはずです。
当然それにともなって独立した科と
いうものの存在が必要となってくると
思います。
素人考えですが、医療の質が低下して
きてはいませんか?
であれば、専門医の育成こそ、優先すべき
ことだと思われます。
神経内科をなくして良いなどという
根拠はどこにあるのでしょうか?
目的はなんでしょうか?
医療機関を選びやすくすることは必要でしょうが、
科を減らすことで解決できるとは思えません。
理解もできません。
どの科にかかって良いのかわからない人の為に
総合科を設けて、そこで、荒い振り分けをする?
サービス向上に一定の意味はあると思いますが、
医師不足の解消にはならないと思う。