人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

3.11から一年・・・自然を侮ってはいけない

2012-03-11 16:50:00 | 分類なし
 



■ 3.11から一年 ■

東日本大震災から1年が経過しました。

本日は様々な特集番組が組まれている事でしょう。
(我が家はTVが無いので・・・)

地震や津波、あるいは原発事故について、
様々な方が様々な情報発信をされていると思いますので、
私は少し違う視点で3.11以降の事を語りたいと思います。

■ 地震は人工的に起せるのか? ■

普段、ドウシヨウモナイ陰謀論の妄想を撒き散らす私が言うのも変ですが、
3.11以降、「あの地震は人口地震だった」という噂がネットを中心に流れています。

1) 最初は「HAARPは地震兵器」という情報が飛び交いました。
2) 最近は「核兵器による人口地震」という噂が耐えません。

ところで、はたして人工的にあの様な巨大地震を発生させる事は可能なのでしょうか?

■ HARRPで地震は発生させられるのか? ■

HARRPで地震を発生させる説の根拠は「気象操作」が主流でしょうか?

1) 大気によって地殻に掛かる重量は予想外に大きい
2) HAARPは電離現象により気象をコントロールする
3) 大気圧を局所的に変化させて地震を誘発させる

この他にも諸説ある様ですが、これにはいささか無理があります。
大気圧を局所的に変化さた場合、空気には流動性があるので、
「突風」や「台風」が発生します。
地震の直前に、この様な現象が観測されていないので
この説ははじめから否定されていると考えられます。

HAARPの強力な電磁波で地震を直接誘発するという方法も考えられますが、
エネルギーの量的に電磁波で人工的に誘発する事は不可能だと思われます。

1) HARRPはの電源供給には物理的な制約がある
2) 一般的な発電所で作られるエネルギーレベルではとても
   地震を誘発するような事は不可能
3) 地震を誘発する程の電磁エネルギーが集中したら電子機器は破壊される

■ HARRPは地磁気と太陽風を観測している ■

現在、巨大な太陽フレアが地球の方向に向いています。
太陽から吹き付ける強い電磁波をHARRPが見事に観測しています。

「HARRP=地震兵器」ならばどこかで巨大地震が発生していそうですが、
幸いな事に巨大地震は発生していません。

確かにそれにりに大きな質量を持つ荷電粒子が高速で地球を通過する時、
運動エネルギーが電磁気的に地殻へのエネルギーへと変換される可能性はあります。
しかし、それはHAARPが地震を発生させているのでは無く、
太陽風のエネルギーが地震の発生エネルギーに変換されているのです。

現在観測されている様な、大きなエネルギーを持った太陽風でも、
地震を発生させない事からも、
太陽風単体では、巨大地震を発生させるエネルギーに満たないと予測できます。

■ 核兵器の海底やプレート付近の爆発で地震は発生させられるのか? ■

次に、海底核爆発やプレート境界付近での爆発によって地震を発生させるという説。

1) マグニチュード9の地震のエネルギーは10_14乗(J)

2) 1 gのTNTの発するエネルギー量を1,012 cal (= 4.184 kJ) と仮定

3) ロシアの最大のICBMの積載弾頭は、37.4Mt
5) この核弾頭の爆発のエネルギー
   は37.4x10_6乗x10_3乗x4.184(J)=1.56x10_11乗(J)
6) この核弾頭のエネルギーが全て地震のエネルギーになったとして、M7程度の地震
7) M9クラスの地震を発生させるには大型核弾頭が1000発くらい必要

核弾頭の爆発のエネルギーだけでM9クラスの地震を発生させるのは現実的では無いようです。

■ プレートに歪みが溜まった状態で地震のきっかけを人工的に作れるか? ■

地震は自然に発生します。
地殻に歪みが溜まり、地殻がひび割れる時に地震は発生します。

それでは歪みが充分に溜まったプレート境界で核爆発を発生させれば、
巨大地震を人工的は発生させる事が出来るのでしょうか?

答えは「不可能では無い」だと思います。

しかし都合良くM8やM9といった巨大地震を発生させられるかと言えば、
答えは「NO]ではないかと思われます。

1) 巨大地震が発生する程の地殻やプレートの歪みが都合よく溜まっている必要がある
2) 地殻の崩壊が段階的に発生すれば、巨大地震のエネルギーは分散してしまう
3) 地殻を破壊する程の核爆発では放射線という痕跡が残ってしまう

得に放射線の痕跡に関しては、「福島原発事故で隠蔽した」という説もあります。
しかし、放出された核種を分析すれば、原発事故による放射性物質か、
核爆弾による放射性物質かは、簡単に見分けが付くはずです。

■ 日本に地震が発生して誰が得をするのか? ■

根本的な疑問は、手間を掛けて日本に巨大地震を発生させて誰が得をするのかという点です。

311の後、金融市場は混乱しましたが、
各国中央銀行や日銀や各国政府が日本市場を支えました。

地震直後で売り抜けて、底値で買い戻して大儲けした連中は居るのでしょうが、
日本市場が崩壊する危険性もあったので、これはバクチです。

結局、あの時点で日本市場が崩壊し、3月期決算で企業倒産が続出していてば、
世界はそのまま金融危機に突入していたでしょう。

・・・でも、ワザワザ日本で地震を起して金融危機を起さなくても、
各国中央銀行がちょってでもマネーサプライを絞れば、
アット言う間に、金融恐慌など作り出せるはずです。

日本だけがターゲットだという説もあるでしょうが、
一歩間違えば、自国経済まで巻き込まれる様な間抜けな方法はスマートではありません。

■ 911の陰謀説には合理性があるが、311人工地震には合理性が希薄 ■


ありそうも無い事が起こるのが世の中です。
911の陰謀説には、かなり合理性を感じる私ですが、
311の陰謀説には、合理的な理由が見つかりません。

そもそも地震は自然現象ですから、
明日、東京を直下型地震が襲うかもしれませんし、
あるいは今後50年間、幸にもそういう事態が起こらないかも知れません。

「311は人口地震」であるならば、その犠牲者はあまりにも浮ばれません。
逆に言うならば、「311が人口地震」と言う事は、
犠牲者の尊厳を奪っている様にも感じます。

「大自然の摂理の犠牲者」ならば、その死も自然の摂理の中で尊厳を保てます。
「陰謀の犠牲者」とされてしまっては、犠牲者の家族は複雑な思いを抱くはずです。


ヒトの生き死にの問題だけに、文章で語るのは難しいのですが、
本日はガラにも無く、陰謀論を少し批判的な視点で見てみました。





ギリシャCDS発動・・・32億ドルは大きいか、小さいか

2012-03-10 10:48:00 | 時事/金融危機
 

■ やはりギリシャはデフォルト認定 ■

ギリシャが集団行動条項(CAC)を適用して強制的な債務削減を敢行した事により、
国際スワップデリバティブズ協会(ISDA)は
ギリシャをCDSの支払いが発生する「クレジット・イベント(清算事由)」と認定しました。

別に今更何も驚く事の無い記事です。

何故ならギリシャのCDSの純取引残高は32億ドル(約2588億円)、
契約総残高は699億ドル(約5兆6535億円)だからです。

一時、ギリシャ国債の発効残高の4倍のCDSが発効されているなどと噂されていましたが、
2588億円が最終的に決済が必要になる金額のベースとなりそうです。

尤も、債務削減でCDSを所有していない金融機関は、
75%の実質的な損失となる訳で、
兆円単位の損失が発生する事は確かです。

これらの損失の多くが、フランスの銀行で発生します。

■ CDSの発動を金融界は好感する ■

ギリシャのデフォルト認定を否定的に捉えるか、
肯定的に捉えるかで週明けの市場動向が大きく変わってきます。

私はギリシャの債務圧縮で経営破綻する金融機関が無ければ、
しばらくは市場は現状を維持すると思います。

むしろCDSの発動が認定された事で、
債券市場はほっと胸を撫で下ろしている事でしょう。

もし、ギリシャがCACの発動に踏み切りながら、
CDSが支払われなければ、CDSに対する信頼が失われ、
債券市場全体が危機に陥る事態が発生するでしょう。

ですから、今回のCDS発動は、予測範囲内だったと言えるでしょう。

市場は過剰流動性が発生しておりミニバブル状態ですから、
ギリシャのデフォルト認定は無視して
CDSが守られた事にのみ注目して、値を上げるかも知れません。

■ ネガチブ要因を、最悪の予測でポジティブ要因に変えるトリック ■

とにかく今の金融市場はポジティブな情報に飢えています。

ギリシャのCDS発動にしても、本来はネガティブな事態ですが、
あまりにも事前にネガティブな情報が大量に出回ったので、
相対的にポジティブに感じられてしまうのです。

これがヨーロッパの上手い所で、
ネガティブ情報を大量にたれ流す裏で、
確実の危機の芽を摘んでいる様です。

これは、ポジティブ情報をたれ流すアメリカと対照的です。
アメリカは裏では危機が深化しているように見えます。

■ ギリシャ問題は根本的には解決していない ■

ギリシャ危機が過ぎ去ったかと言えば、そうではありません。

ギリシャが緊縮財政を実行に移せなければ、
当然、予定の債務も払えない事態が再び訪れます。

その前に4月の総選挙で国民がどういう判断を下すかに注目が集まります。
緊縮財政を決定して現政権が否定されてば、
事態はまた振り出しに戻ります。

■ ギリシャはユーロを離脱しても構わない? ■

しかしギリシャ爆弾の破壊力は随分と小さくなっています。
ギリシャが早期に無秩序でデフォルトに陥った場合に比べ、
債務の額は50%に圧縮され、
CDSは既に処理可能な額になっています(圧縮された?)。

この様に段階的な破綻プロセスと取る事で、
ギリシャが完全にデフォルトした時に発生する衝撃は
かなり軽減されていると考えられます。

ギリシャの財政再建が頓挫し、再び危機が表面化した時、
もしかするとギリシャはユーロを離脱するかも知れません。

ヨーロッパの銀行が抱える損失が段階的に処理され、
ギリシャの破綻ががヨーロッパの金融危機に発展する恐れが無くなれば、
今後、長期間に渡り支援を必要とするギリシャをユーロに留める必要薄らぎます。

ギリシャ国民にしてもユーロを離脱した方が幸せかもしれません。

■ ポルトガルはパス? ■

ギリシャの次はポルトガルが控えていますが、
どうもポルトガルはパスされて、
スペインとイタリアに防衛ラインが引かれている様に思えます。

ギリシャの処理で、破綻処理の前例が出来たので、
ポルトガルが破綻しても同様い処理するだけなのでしょうか?

ギリシャの影響を受けてポルトガルの金利が上昇しています。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE82807620120309

■ ユーロの財政統一の行方 ■

ギリシャ危機を受けて、ユーロの財政統合への動きは加速しています。
しかし、ギリシャ危機が一段落すると、財政統合への圧力が弱まります。

この点から考えると、ギリシャ危機やポルトガル危機は、
もう一悶着もふた悶着もありそうです。

市場は「明日が大丈夫ならOK」とい乗りで反応している様ですが、
そうは言っても、これからは値動きの激しい展開になるでしょう。

イス取りゲームのイスがだんだんと減ってきているのですから・・・。
但し、このゲームは最後の残った者が損をするゲームというのがミソ。







ガンダムとはシャーとジオンの物語である・・・安彦良和が描く「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」

2012-03-10 05:23:00 | マンガ
 





本日はネタバレ全開です。ご注意を!!

■ ガンダムを安彦良和の視点で再構築する ■

このブログでも何度かガンダムを取り上げようと思ったのですが、
ガンダムを語る事は意外に難しい。

1979年に放送されて以来33年が経過しました。
その間にガンダム世代の私達は成人し、
放送当時、アムロの視点で見ていた作品世界を、
今ではシャーやブライトの視点で眺める様になっています。

昔はオヤジに叩かれると、
「殴ったね 親父にもぶたれたこと無いのに」と脳内テロップが流れたものですが、
今では、子供を殴りたい気持を必死で堪えながら、
「殴られもせずに1人前になった奴がどこにいるものか。」と心の中で呟きます。

そんなオヤジ・ガンダム世代に必読なのが、
安彦良和氏が描く「軌道戦士ガンダム THE」ORIGIN」です。
この度、23巻にてようやくア・バオア・クーが陥落し、
長かった1年戦争が終結しました。

ガンダムは監督である富野由悠季の作品と解釈されますが、
作画を担当していた安彦良和との相克の中から
あの物語が誕生したのではないかと私は考えています。

感覚的に物を考える富野氏に対して、
安彦氏は非常にインテリです。

安彦氏は学園紛争が盛んな時代に弘前大学に入りますが、
学生運動に傾倒するあまり大学を除籍。
プロレタリアート(労働者)の職業として
印刷工になろうとしますが、直ぐに挫折します。

そんな人間に一番似合っているダメな職業としてアニメの世界に入ります。
当時のアニメの現場は、過酷を極め、正に肉体労働状態だったと言います。
そんな理由で仕事を選ぶ事自体が、
頭で物を考える人間の、典型的な行動様式とも言えます。

一方、富野氏は皆さんもTV等でおなじみの様に、
もう言っている事も良く分からない・・。
何か自身の信念に突き動かされて作品を造りますが、
それらが常識の向こう側、
人間の生き物としての真理の領域に転げ落ちそうになります。

ガンダムでも後半は「ニュータイプ」が物語の中心になります。
ところが、安彦氏は「ニュータイプ」に疑問的でした。
そんな確執もあってか、安彦良和は体調を壊し、
TVシリーズの後半の作画に参加できない事もあった様です。
(映画版は安彦氏が大幅に書き直しています)

二人の対談がネットにアップされていました。
とても興味深いので紹介します。

ガンダムエースでの対談の抜粋の様です。
「トボフアンカル・ミニ・メディア(T:M:M)」http://d.hatena.ne.jp/tobofu/20090728/1248776734

安彦良和が角川書店の企画で始めたのが、
オリジナルガンダムを漫画で描くという
「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」。

安彦氏はこの企画を「ガンダムは富野さんの作品」と断っていた様ですが、
富野氏が「自分も楽しみにしているから好きにアレンジして欲しい」と
言った事がきっかけで、「THE ORIGIN」がスタートします。

安彦氏自身、オリジナルガンダムに対する思いは相当に強く、
最初はオリジナルガンダムに現代風のディテールを加える程度の作品が、
次第にオリジナルガンダムの隠された真意を掘り出す作業に変化して行きます。

「THE ORIGIN」は安彦良和の視点で描かれた「もうひとつのガンダム」であり、
そして、ガンダムに隠されていた思想的背景を全面に押し出した、
「大人の鑑賞に充分堪えるガンダム」とも言えます。

■ 過去編の追加で「ジオン成立史」を描き切る ■

「THE ORIGIN」が単なるファースト・ガンダムのリメイクでない事が宣言されたのは、
「ジオン公国」の成立前史を描いた過去編からです。

「人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が過ぎていた。地球の周りの巨大な人工都市は人類の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった。
宇宙世紀0079、地球から最も遠い宇宙都市サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。この一ヶ月あまりの戦いでジオン公国と連邦軍は総人口の半分を死に至らしめた。」

このあまりにも有名なファーストガンダムの最初のナレーションに集約された
ジオン公国の成立史を、「歴史家」安彦良和の始点で構築する事が、
「THE ORIGIN」を承諾した安彦良和氏の真の狙いだったとも言えます。

この「過去編」を描く事で、ガンダムはアムロ・レイの成長の物語から、
シャーとセイラの復讐の物語に変容します。


■ 明かされたザビ家との確執と、ランバ・ラルの忠誠 ■

「過去編」ではキャスパル(シャー)とアルテイシア(セイラ)の、
そしてザビ家の面々の過去が詳らかにされてゆきます。

地球に収奪されていると感じていた宇宙移民達は、
「宇宙移民は進化した人類である」というジオン・ダイクンの演説に熱狂します。
しかし、安彦の描くジオン・ダイクンは、恐妻家で、
思想家として「同士」である妻に炊きつけられて、
扇動的な演説を考える日々を送ります。

一方、子供の居なかった正妻とは別に、妾を囲っています。
彼女は正妻も公認していて、
ダイクンの血筋を残せない自分の身代わりと彼女を見下しています。
そして妾の子供達がキャスパルとアルテーシアでした。

ジオン・ダイクンの穏健なやり方では
地球には太刀打ちできないと考えたデギン・ザビは、
ジオン・ダイクンを毒殺し、政権をその手中に収めます。

デギンには優秀が子供達が大勢居ました。

切れ者で陰謀家のギレン。
活発で気の強いキシリア。
人情家のドズル。
その他にもギレンと対立する長子が居ます。

彼らは権力の中枢を握り、ジオンはザビ家の独裁の様相を呈して来ます。

■ 幽閉されたキャスパルとアルテイシア ■

一方ダイクンの子供キャスパルとアルテイシアは母親と共に幽閉されます。
ジオン公国の思想的柱であるダイクンの遺児として、
政治的価値の高い二人を、デギンは手駒として将来利用しようとしたのです。

キャスパルは幼くしてその利発さは大人顔負けでした。
父を殺したザビ家を決して許す事無く、キシリアにも反抗的です。
キシリアはキャスパルを恐れます。
将来、彼がザビ家に禍根を為すことを予見していたのです。

そんなキャスパルとアルテイシアを地球に逃すのが、
退役軍人であったランバ・ラルです。
ラルの配下には、かつて情報機関に居たと思われるハモンや、
TVシリーズでもお馴染みのラルの部下達が集っています。

彼らはザビ家を出し抜いて、幼きキャスパルとアルテイシアを地球に逃します。
そして、地球で彼らを引き取ったのが、マス家だったのです。
しかし地球も安住の地ではありませんでした。
キシリアの追っ手を逃れ、彼らは再びスペースコロニーへと旅立ちます。

後にTV版でテキサスコロニーとして紹介される、
開発コロニーでキャスパルはシャー・アズナブルと出会います。

おっと、これ以上は・・・・。

■ シャーの復讐が始まる ■

シャー・アズナブルとしてジオンの士官学校に入学したキャスパルは、
そこでガルマ・ザビと出会います。
ガルマはザビ家の一員として、優秀である事を求められますが、
いつもシャーに勝てません。
シャーにライバル心むき出しのガルマですが、そこはお人好しのガルマだけあって、
ある事件をきっかけに、シャーを無二の親友と思う様になります。
シャーもガルマを嫌いでは無いようで、何かと面倒を見ています。

そんな二人の士官学校の校長がドズルです。
ドズルが又一本気で人が良い。
ギレンやキシリアとは正反対の二人に、
読者は子供の頃から植え付けられていた「ザビ家憎し」のマインドコントロールを
徐々に解かれてゆきます。

ところがシャーの復讐は既に士官学校時代に始まっているのです。
地球連邦との緊張が高まる中で、
士官学校生達が、地球連邦軍の駐屯所を急襲します。
ガルマを筆頭とした部隊ですが、計画はシャーが立てています。

この事件をきっかけにして、地球とジオンの対立は決定的な物となります。

さて、この事件の最中、校長であるドズルを拘束する役目を担ったのが
なんと後にドズルの妻となる若き日のゼナであ事は、
ファンに対する最高のサービスでしょう。

■ モビルスーツ開発史をも網羅 ■

「THE ORIGIN」のもう一つの魅力は、
大河原事務所によるメカデザインのリファインです。

30年という月日を経て、さすがにガンダムやホワイトベースや
その他のメカデザインは古さを感じます。

そこで、ファーストガンダムのメカデザインを担当した
大河原邦彦の事務所がデザインをリファインしています。

さらに、安彦良和はモビルスーツの開発秘話も明らかにしています。
モビルスーツが作業用機械から進化した事は周知の事実ですが、
高速ミノフスキー粒子を動力源とする事など新しい設定が満載です。

そして、モビルスーツ開発を一任されたドズルが
テストパイロットとして呼び寄せたのが、
何と「黒い三連星」と「赤い彗星」だったのです。

彼らの初陣がルウム戦役であり、
これによりジオンは連邦に対して圧倒的に有利に戦局を展開します。

ルウム戦役で地球連邦のデビル将軍が捕虜となりますが、
これを密かに逃走させたのは、デギンです。

デギンは宇宙戦争によるあまりにも多くの死者に密かに心を痛めています。
そして、和平を期待してレビルを逃走させたのでせす。
ところが、レビルは地球に戻るや、徹底抗戦を訴えます。

既にこの時、戦争はデギンの手を離れ、
ギレンやレビルの戦いとなって行くのです。

■ 22巻、23巻のセイラの活躍 ■

「THE OEIGIN」は、23巻でようやく終結を迎えます。

オリジナルガンダムでは後半良い所があまり無いセイラですが、
安彦良和はア・バオア・クーの攻防戦で、
最大の見せ場をセイラに用意しています。

これには痺れます。

過去編、ランバラル編と、セイラの存在感にも焦点を当て来た目的は、
このシーンの為にあったと思える程です。

とにかくオリジナルストーリーは読み飛ばしても、
サイドストールーや、新たに加えられたエピソードだけでも
「THE ORIGIN」を読む価値はあります。

■ ガンダムの歴史を発掘する「歴史家」安彦良和 ■

「THE ORIGIN」は何であるのか・・・そう聞かれたら、
「歴史家」安彦良和が、ジオン公国の成立史と、1年戦争の真の姿を
壮大なスケールで描いた、歴史エンターテーメントだと答えるでしょう。

そしてその主人公はアムロ・レイでは無く、
ジオン・ダイクンの遺児である、キャスパルとアルテーシアなのだと。

アムロは「ニュータイプ」の理想を掲げる富野のヒーローであるならば、
キャスパルとアルテーシアは、歴史に翻弄されたジオンの象徴とも言えるのです。


この壮大な歴史書を知らずして、もうオリジナルガンダムを語る事は出来ません。


最後に・・・


 全編を通じて、キシリアが魅力的です。
 狡猾ですが、父デギンには愛情を感じている娘らしい側面も見られます。
 キシリアがギレンを殺した瞬間、キシリアは父を殺された恨みから、
 直情的にギレンの頭を打ち抜いたのだと思わせる所があります。

 デギンも娘のキシリアは可愛いようで、
 ギレンは信用していませんが、キシリアは信用していた様です。
 ガルマもキシリアには良くなついていましたし、
 キシリアの親衛隊も彼女に忠誠を持って応えています。

 シャーを恐れるキシリアは、シャーの中に自分と同種の何かを感じた様で、
 それは一種の捩れた恋愛感情に近いものなのかも知れません。
 だからキシリアは執拗にシャーを抹殺しようとし、最後は手なずけようとします。


ここら辺は読む人によって解釈が違うのでしょうが、
安彦良和のドズルやキシリアに対する愛を感じてしまうのは私だけでしょうか?






「貧乏人」は「官僚制度」を死守すべき・・・「公務員=諸悪の根源」説に騙されるな!!

2012-03-09 10:12:00 | 時事/金融危機
 

■ 夜中の2時、3時に霞ヶ関の官庁街を見た事がありますが? ■

私が入社して間もない頃はバブル時代でした。
あこ頃は「ハナ木」などと言って、
木曜日にはもう終末の気分で、
新宿などの飲み屋街の夜は賑わっていました。

終電を逃して、タクシーを拾おうにも、
新宿の大ガード付近では拾えずに、
歌舞伎町に戻って始発まで飲みなおすなんて事も・・。

私は酒が入ると、どうも走りたくなる悪いクセがあり、
終電を逃すと、鞄を小脇に抱えて、
自宅まで良く走っていました。
家内には、靴が磨り減るからいい加減にしろと怒られましたが、
誰もいない都心を走り抜けるのは、快感でした。

でも、霞ヶ関の官庁街だけは、雰囲気が違います。
どのビルも真っ暗な中、官庁のビルだけは煌々と明かりが灯り、
車寄には、タクシーが列を成しています。

多分、予算編成時期なのか、国会の会期中なのでしょうが、
「我々が飲んだくれている時も、お役人は大変だな」なんて
酔った頭で思ったりしていました。

■ 「官僚=悪」という刷り込み ■

マスコミがマスゴミと呼ばれる様になって大分経ちますが、
マスコミの最近の論調を「表面」だけ見ていると、
彼らの標的は「官僚」に絞られた様です。

監督権を持つ官僚組織を正面から批判出来ませんから、
「都内の高級官舎が格安」などという庶民感覚溢れるネタで
揺さぶりを掛けたりしています。
(すみません、最近TVと無縁なのでちょっと古い話題ですね)

国家公務員の官舎が都心に存在するのには
きちんとした理由があります。

1) 非常事態が発生した場合、夜中であっても所属官庁に登庁できる。

全てはこの1点に集約されますが、他に理由を挙げることも出来ます。

2) 夜中の2時、3時まで働くのでタクシー代が嵩む郊外では不経済

私は公務員では無いので、実際の所はどうか分かりませんが、
官舎が都心にある必要性を無視して、
庶民感覚で不公平をことさら強調するマスコミには不信感を抱きます。

■ 中央官庁のキャリア職は恵まれている訳では無い ■

給与の官民格差を指摘する報道も多くなって来ました。

民間の平均給与が  412万円
公務員の平均給与が 809万円


先ずこの問題は二つに分けて考える必要があります。

一つは所謂キャリア職と呼ばれる官僚達と、一般公務員を分ける必要があります。

1) キャリア職は国の運営を預かっている
2) 厳しい受験戦争を勝ち残り、有名大学を優秀な成績で卒業している
3) 志を持って、民間の一流企業では無く、国家公務員を選択した
4) 同一の学歴であれば、一般企業よりも給与が低い
5) 同期が事務次官になれば、退官する(以前は)ので、定年が民間よりも早い

官僚達は概して優秀です。
彼らを、「受験勉強が生み出した無能な集団」と評価するマスコミは、
かなり「ヒガミ根性」丸出で、むしろその様な論調は恥ずかしく感じます。

ただ、彼らが会社を興す様なチャレンジャーで無い事も確かで、
そこら辺は、職業を選択する時点での個人の適正に由来しているのでしょう。

冒頭の夜中の霞ヶ関の話ではありませんが、
民間に就職して、ブイブイ言わせている大学の同級生を尻目に、
夜中まで、お役所用語で埋まった資料を作っている時の
彼らの気持ちはどんななのでしょう?

■ 地方公務員は恵まれている ■

一方、地方公務員に目を移した場合、制度上の歪みは目を覆おうばかりです。

この場合は、「同一労働・同一賃金」という原則が完全に無視されています。

かつて公務員は公僕と呼ばれ、「社会の下僕」でした。
賃金も民間に比べ低い為、「田舎に帰って公務員にでもなるさ」
なんて、否定的に「公務員」という言葉が使われていました。

ところが、現在は地方公務員は大学生の憧れに職業です。
生活が安定していて、リストラの心配は無く、
さらには、民間よりも給料が良い。


受験勉強に勝ち抜き、大学時代もしっかりと勉強し、
公務員試験の為に予備校に通い、
そして見事に勝ち取るのが、公務員という職種です。

ただ、優秀な人材が公務員になっても、
現状の地方行政ではその才能を生かす事が難しいでしょう。
東京などの大都市は別としても、
地方行政は前例主義が幅を利かせていますから、
大胆な改革の提案を若者がしたとしても、上司が認めません。

それが組織のDNAとして伝承されているので、
優秀な人材もやがては、「公務員」に適応して行きます。
雇用が安定してい事が災いして、古い慣例を壊す事が出来ないのです。

さらに以前問題になっていた様に、
保育職員やバス運転手の民間との給与格差が大きいなど、
公務員は今や、「とてもオイシイ職業」となっています。

■ 公務員給与は何故下がらないのか ■

公務員給与が何故下がらないかと言えば、
それは「人事院勧告」制度に問題があるからです。

公務員と民間の所得格差が近年拡大する最大の理由は、
「非正規雇用」の拡大を人事院勧告が織り込めない事にあります。

「人事院」は公務員と民間の職種や職能を結構細かく分類して、
公務員の給与算定の基準と作っています。

但し、民間の労働、特に単純労働の多くは非正規雇用に置き換わっています。
ですから「正社員」の給与比較では大きな差が生じなくても、
そのグループに属する「労働者」全体との比較では、大きな差が生じます。

さらに、人事院が参照する「民間企業の規模」の問題も指摘されています。
中小企業の比率あ結果的に低くなので、算定数字が上昇してしまうというのです。
(ここら辺は、算出方法が私には良く理解できませn)

さらに公務員には「手当て」が沢山あります。
その結果、給与の格差が広がる傾向があります。

■ キャリア職と、一般の公務員を区別すべき ■

キャリア職の給与は民間企業と比較して決して高くはありません。
一方で、地方公務員の給与は民間に比べて容認出来ない程高止まりしています。

問題の本質はここにあるのであって、
「キャリア官僚が日本を食物のしている」的な論調を展開するマスコミは本末転倒です。

人事院が公務員給与を引き下げられない理由が、
「キャリア職の給与も同時に下がってしまう」という事ならば、
一回、国家公務員と地方公務員の算定基準を分けるという方法も必要かと思われます。

■ 「官僚潰し」が目的では無いのか? ■

アメリアにしてもその他の国にしても、
日本の「官僚組織」は厄介な存在です。

首相を締め上げて、改革の約束を取り付けても、
法制化の段階で、全て骨抜きにされてしまいます。

そして、日本の首相はコロコロ変わるのに、
官僚組織は盤石で、誰かをパージしても組織としてそれを補ってしまいます。

要は、目的を持った小魚の群れは「厄介」なのです。

だから日本人の世論を持って「官僚を悪人に仕立て」、
「政治主導」という聞こえの良い言葉で「官僚」を無効化しようとしています。

■ 「官僚」が守ってきたのは「貧乏人」 ■

「官僚」が守ってきたものは何か・・・・。
それは「日本の停滞」を見れば明らかになります。

「保守的」な官僚機構は変化を嫌います。
ですから、「官僚機構」は戦後日本の成長モデルを頑なに守ろうとします。

「護送船団」と呼ばれたり、「ジャパン株式会社」と呼ばれたり、
「世界で最も成功した社会主義」と呼ばれたこのシステムは、
圧倒的な勝者も生み出しませんでしたが、
絶望的な敗者も生み出しませんでした。

ところが、世界が「グローバリゼーション」という名の下に複雑に絡み合う時代では、
国境という概念がどんどん薄れてゆきます。

日本国内の為には良い事なのだけど、
世界の中の日本を考えると、上手く機能しない事が多くなるのです。

例えば、「雇用を守る事」=「輸出産業の高コスト化」となります。

日本の低迷は、「官僚組織」が「弱い国民を守る」為に生み出されたもので、
もし、「自由競争」が日本に普及していれば、
日本の経済は現状よりも好転していたでしょう。

但し、その過程において今よりも多くの「敗者」を生み出していた事も事実です。

■ 「誰も不幸にしない為」に変われない日本 ■

結局、税制問題にしても、福祉や医療改革にしても、
雇用や規制緩和の問題にしても、
「官僚機構」が盤石な間は、ドメスティックな変化は望めません。

これは「官僚」たち自身が一番認識している所でしょう。

「彼も不幸にならない」為に官僚達が頑張れば頑張る程、
「皆が等しく不幸になってゆく」社会が生まれているのです。
「誰も不幸にならない」為に大きな変化は否定されます。

日本は官僚機構に守られていると同時に、
世界の環境変化から取り残されてているのです。

この状態は長くは続きません。
しわ寄せは全て「国債の発行」で吸収していますが
それも限界に近づいています。

■ 知らぬ間に特権階級となっていた公務員 ■

日本が長期の低迷と縮小の時代を歩んでいるうちに、
変化が最も少なかった公務員が特権階級になっていました。

特にに落ち込みの激しい地方において、
公務員と民間の所得格差は信じられない程広がってしまいました。

■ 国民が変化を望むか? ■

ここから先は国民の問題です。

「大阪維新の会」や「みんなの党」は「脱官僚」を政策としています。

彼らの政策は「自由競争」の原理の強化です。

私はそれも悪くないと思っています。
日本はこのままでは世界から大きく遅れてゆきます。

新たな成長の芽を生み出して、それが育たなければ、
経済は発展せず、雇用は失われてゆきます。
しかし、これは一つのバクチです。

「企業」という言葉は「バクチ」と同義です。
生き残るのは、たいてい10社に1社です。

こんな勝率の悪い賭けを国民は支持しないでしょう。
結局、問題の本質は「国民の決意」であるのでしょう。

そして「国民の決意」が求められる状況は、
やがて訪れる事は確かな様です。

リビア情勢に酷似してきたシリア・・・各国大使館閉鎖

2012-03-08 05:42:00 | 時事/金融危機
 

■ シリア情勢がリビアに似てきた ■

シリアではイギリス大使館とフランス大使館が閉鎖され、
中国は労働者を引き揚げるそうです。

なんだか着々と内戦へ向けての準備が進められています。
というよりも、既に内戦状態なのですが。

■ リビアでは油田地帯のベンガジが独立? ■

「リビア東部・ベンガジが「自治宣言」 暫定政府は猛反発」2012.03.08ロイター
http://www.asahi.com/international/update/0307/TKY201203070469.html

<引用開始>

リビアからの報道によると、東部ベンガジで6日、部族の幹部や地域の有力者ら約3千人が集まり、中部シルト以東エジプト国境までの地域について「自治の確立」を宣言した。暫定大統領にあたる国民評議会のアブドルジャリル議長は猛反発し、自治権を認める可能性は低い。地域対立が激化する可能性がある。

 リビア東部は、石油資源が集中する一方でカダフィ政権時代に社会基盤の整備が遅れてきた。多くの住民が「差別されている」と感じ、ベンガジは反カダフィ派の拠点となった。6日の会合では、東部の古名から名付けた「キレナイカ暫定評議会」の発足を宣言し、「連邦制度の導入を求める」としている。

 アブドルジャリル議長はこの動きを「リビアの革命をほかの国に広げたくないアラブ圏の陰謀」と批判した。同議長も東部ベイダの出身だ。

<引用終わり>

油田地帯の切り取りとも思える動きが出てきています。

欧米の中東政治の要は、アラビアのロレンスの時代から
部族間対立を上手く利用することです。

リビアは100を越える部族社会をカダフィーが強権(狂犬?)で支配していました。
その枷が外れれば、当然部族間の対立が表面化してきます。
しして、欧米がそこに上手く付け入って、利権を獲得してゆくのです。

リビアの内戦を主導したのはアルカイーダだったとも言われています。
市民の武装蜂起と報道されても、その裏はドロドロの陰謀渦巻く世界です。


■ シリアは内戦状態にある ■

リビアではアサド政権に軍の一部が反抗して、
内戦状態に発展しています。

これは「市民の反乱」では無く「軍の反乱」です。

ところが国際社会は、民間人の犠牲者の数をたれ流し、
「政府が市民を弾圧している」と報道します。
リビアの例を見ても、どこまでが市民で、どこまでがテロリストで、
どこまでが反乱軍なのか、他国からは良く分かりません。

■ シリアの背後に居るイランとロシア、配下に居るヒズボラとハマス ■

シリア問題がリビアより少し複雑なのは、
シリアの背後にイランとロシアが居る事です。

ロシアはシリアに軍港を構え、
中東戦略の足がかりにしています。
プーチンは表向きは、欧米諸国のシリア干渉を排除すると言っています。

イランもシリアとは浅からぬ仲です。
イランのヒズボラやハマスの支援は、シリア経由で行われています。

中東情勢はイランに注目が集まりますが、
本当の狙いは、シリアやイエメン、バーレンの体制崩壊と、
最終目標はサウジアラビアの体制崩壊でしょう。

現在の中東の混乱の根本的原因は、
中東における、石油利権の組み換えにあります。

アメリカ(フェラ組)からその他の国への
利権の組み換えが起きていると見ています。

■ アサド政権が崩壊すると、イスラエルが困る ■

シリアでアサド政権が倒れると困るのはイスラエルです。
ゴラン高原でシリアで国境を接するイスラエルは、
ゴラン高原の安定が需要な課題です。

アサド政権時代はゴラン高原は安定していました。
政権が崩壊した後、イスラム急進派がゴラン高原から
イスラエルにチョッカイを出さないか、
イスラエルは、戦々恐々とした日々を過ごす事になります。

中東情勢はダイナミックに動いています。
目が離せません。