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映画・演劇のレビュー

テラヤマ博(劇団太陽族)『大山デブコの犯罪』

2007-05-07 05:52:29 | 演劇
 寺山修司の初期中篇作品の上演。40年の歳月を経て太陽族の岩崎さんの手で蘇ったこの作品は、寺山がその劇世界を確立する以前の習作的作品。それを岩崎さんが新しいコンセプトのもとに再構成して、とても初々しい作品として舞台化した。  この芝居では今から20年前に死んでしまった大山デブコ(篠原裕紀子さんが演じる!)はバブルの象徴として描かれ、金満ニッポンのツケを彼女が払わされることになった、という設定のも . . . 本文を読む
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『トカゲの可愛い嘘』

2007-05-06 07:16:09 | 映画
 これはひそかな傑作かも、と思わせる素晴らしいオープニング。期待は高まる。韓国の田舎の風景がとても美しい。少年と少女の出会いがその風景の中で見事に捉えられてある。そして、高校生になった2人の再会シーンも素敵だし、前半戦はかなり高得点の映画。  『猟奇的な彼女』に迫るとってもチャーミングな韓国映画の新しい宝石の誕生か、とワクワクさせられたのだが、後半少しずつ繰り返しがひつこくて単調になってしまい、 . . . 本文を読む
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『サンシャイン2057』

2007-05-06 06:54:23 | 映画
 『トレインスポッティング』で鮮烈なデビューをしたダニー・ボイルはその後意外な方向へとキャリアを進めていく。ディカプリオと組んだりしてハリウッド・メジャーを目指しているように見せながらも、『28日後』は、B級テイストのゾンビ物であったし、今回もまたB級SFアクション・テイストの作品をかなり歪な展開で見せてくれる。  『ザ・ビーチ』以降一貫して「ここではないどこかに」向かっていくお話を作り続け、そ . . . 本文を読む
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『百年恋歌』

2007-05-05 07:50:36 | 映画
 大阪での劇場公開はこの5月下旬に決まったらしいが、待ちきれず一足先にDVDで見た。ホウ・シャオシェン最新作。(それにしても大阪での公開はあまりに遅い。内容的に見てまず人が入ることはないのはよくわかるが、それにしても)  ホウ・シャオシェンとの衝撃の出会いから、既に20年の歳月は過ぎている。その間、最初の数年以降はずっと、彼の新作を楽しみにしてきても、必ず裏切られる。最初は『坊やの人形』だった。 . . . 本文を読む
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『ゲゲゲの鬼太郎』

2007-05-03 20:25:33 | 映画
 正直言って全然期待はしていなかったが、このあまりの企画のバカバカシさゆえ、怖いもの見たさもあって、見てしまった。原作は水木しげるの『墓場の鬼太郎』ではないし、子ども向きの娯楽映画だから、と、ちゃんと予防線も張って見に行ったのだが、やはりがっかりさせられた。  仕方ないことだと思う。この映画には罪はない。鬼太郎が片目でないことや、夜のシーンが極端に少ないことやら、何より敵役の妖怪が弱いことやら、 . . . 本文を読む
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『ラブソングが出来るまで』

2007-05-02 07:00:14 | 映画
 デビュー作『トゥーウィーク・ノーティス』でもヒュー・グランドとコンビを組んだマーク・ロレンスの第2作。今回は彼に今までにないおバカなキャラクターを演じさせ、とても楽しいハート・ウォーミングを作り上げた。  80年代に一斉を風靡したポップスターが、今では落ち目になり過去の栄光に縋りついたドサまわりをして生計を立てている。そんな彼のもとにとびきりキュートなドリュー・バリモアが、例によってやってくる . . . 本文を読む
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『バベル』

2007-05-02 06:28:15 | 映画
 一発の銃弾が、三大陸、四つの言語を使う人々の運命と呼応して、そこから壮大な物語が動き出す。『アモーレス・ペロス』で衝撃のデビューを果たしたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの長編第3作。  方法論は前2作と全く同じなので驚くことはない。それよりもこの人はこのやり方でしか映画が撮れないのか、と思ってしまうくらいだ。もちろんそれは彼を否定しているのではない。作家として確立したスタイルを持つこと . . . 本文を読む
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唐組『行商人ネモ』

2007-05-01 09:45:43 | 演劇
 毎年この時期に唐十郎はやって来る。恒例の紅テントでの旅興行は、昔懐かしのジュール・ヴェルヌ『海底二万哩』を原案にして、ネモ船長が主人公の大冒険活劇なのか、と思わせといて、実はとても小さな話を大きな展開もなく見せていく。  75本の白いスラックスを持ち逃げしたネモ(稲荷卓央)と、彼を追いかけて、それを取り戻そうとする衿月(鳥山昌克)の話を中心にして、この吹き溜まりに集まってくる、いずれも訳有りの . . . 本文を読む
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SE・TU・NA『ラフレシア』

2007-05-01 08:59:54 | 演劇
 黒と白で統一されたスタイリシュな空間。L字型に客席が組まれ、その結果当然舞台もコーナーを使った逆L字型に組まれている。密室。天井には天窓があり月明かりが洩れているが、それは人工的に作られたもののようだ。正面に大きなモニター。ホテルの一室のようにも思える。空間は斜めに傾いでいる。(いつもながら見事な西本卓也さんの美術)不安定な空間は彼女たちの心の中を象徴する。ここに2人は閉じ込められている。   . . . 本文を読む
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谷町ビックスターズ『classic』

2007-05-01 07:49:06 | 演劇
 昨年上演された自由派DNAの傑作の再演である。こんなに短期間で同じ作品を再演するケースは珍しい。しかも劇団名を変えて、いつものメンバーで演じる。後で梶原さんから事情を聞いて納得。今回は横山拓生さんによるプロデュースとして企画されたらしい。彼が自分の一番好きなDNAの作品をもう一度やりたい、と言ったことがきっかけで、彼のために、彼への友情として、この作品が作られた。  再見して、そのあまりの単純 . . . 本文を読む
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4月に見たDVD(『カポーティ』他)

2007-05-01 06:55:25 | 映画
 4月があっと言う間に終わった。あまりの忙しさから、映画も芝居もほとんど見れなかった。当然DVDも本数は少なく、11本。そんな中で特筆すべきは既に書いたがキム・ギドク『弓』とイオセリアーニ『素敵な歌と舟はゆく』の2本。  ここではこのブログで触れなかった作品について、何本かを簡単におさらいしておこう。まず、チャン・ツイーイーが母、自分、娘という3代を熱演する『ジャスミンの花開く』。この作品は何よ . . . 本文を読む
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