とても不思議な映画だ。心を病んでしまった人たちが田舎で過ごす日々を描くファンタジーなのだが、特別不思議なことや、現象なんかはない。だから、ただの生活のスケッチなのだが、出てくる人たちが現実離れしていて、その存在自体がファンタジーなのだ。
主人公はムコ(向井理)とヨメ(宮崎あおい)と呼び合う。もちろん夫婦だ。この若いカップルを中心にして、この村で暮らす年寄り夫婦(柄本明と松原智恵子)、町から . . . 本文を読む
映画館には『パシフィックリム』のポスターと並んでこの映画のポスターが貼られてある。どちらも同じような図柄の巨大ロボットもの。明らかにこちらがパチだろう。便乗して公開されたロシアの巨大ロボット映画。大阪では梅田ブルク7で、イブニング、レイトショーで1日2回上映という公開のされ方。2週目からは1回上映になるから、大急ぎで見に行く。
巨大ロボットによるバトルを期待したら、がっかりする。これはまる . . . 本文を読む
46分のアニメーション映画がそれだけで劇場公開される。しかも、全国東宝系一斉ロードショー公開である。未だかつてそんなことはなかった。これはそれだけで、快挙である。しかも、この英断を下して、興行的にも成功する。さらには、公開直後1カ月でDVD販売がなされるのだ。さらにはその約3週間後には、(同時ではない!)レンタル開始する。このすさまじいスピード。だが、これはセルのためのイベント上映ではない。(今 . . . 本文を読む
またも祇園祭を舞台にして、またまた森見がやってくれた。これは待ちに待った彼の新作長編だ。新聞連載時から、楽しみにしていたのに、なかなか単行本にならないから、どうしたものか、と心配していたら、なんと全面改稿していたようだ。何が気に入らなかったのか、よくわからないけど、彼の誠実さゆえの処置だろう。謹んでお受けしよう。
でも、こんないいかげんな小説を毎日新聞で(連載したのは朝日新聞だが)少しずつ読 . . . 本文を読む
テレンス・マリックはもう普通の劇映画を撮らないのか? 前作(『ツリー・オブ・ライフ』)に続き今回もお話ではなく、映像詩。断片の数々を順番もバラバラで見せられる。意識の流れに沿っているのかもしれないけど、こんなの独りよがり。美しい映像を見せられて、それだけで堪能するのなら、いいけど、普通それだけで映画だ、と言われたら、なんか退く。無理。退屈。途中で帰る人もいた。何人も。ふつうない。お金出してわざわ . . . 本文を読む
凄まじい緊張感を伴う芝居だ。「一世一代一人芝居」というキャッチフレーズは嘘ではない。千田訓子渾身の一作。80分間、彼女は何者かに憑依されたかのように、この作品を一身で表現する。演じるというよりも、作品そのものになるという感じなのだ。
主人公である女だけではない。すべての役を一人で演じる。だから、一人芝居なのだ、と言われそうだが、上手く演じ分けるのではない。何だか渾然一体となるのだ。母親や師匠 . . . 本文を読む
ブラッド・ピット主演 で、こういうSFアクション大作が作られる。当然、みんなが期待する。だが、こだわりの人である彼だから普通のアクション映画にはしない。マーク・フォスター監督も、ただの娯楽大作にはしない。2人の不仲も噂されていたが、出来あがった映画は、他にないようなユニークなものになっていた。さすがだ。わかりやすい作り方ではない。難しい話でないけど。
いきなりクライマックスに突入する。何かよ . . . 本文を読む
こういう歴史大作をアメリカ映画が作るなんて驚きだ。地味な映画だ。でも、かなりの製作費がなければ作れない。終戦後の東京をニュージーランドにオープンセットを建てて再現した。これだけのリスクを追いながら、アメリカ人が(監督はイギリス人だが)この素材を扱い、日本の戦後を描くのはなぜだろうか? 娯楽大作ではない。でも、アート映画ではない。どこに興味を持ったのか。天皇をテーマに取り上げ、戦犯として、天皇を捌 . . . 本文を読む
これでシリーズ第7作となる。こうなると、もうどこまでも書き続けて欲しい。でも、マンネリになることはない。これは確信犯だからだ。寅さんみたいなものだ。
でも、友達の輪はどんどんつながり、この先どうなるのやら。やがては収集がつかなくなるのではないかと、そこは心配。小路幸也の才能とアイデアが枯れることなく続くことを祈るしかない。実はもう第8作も発売されている。ということは、これは昨年刊行されていた . . . 本文を読む
こんな怪獣映画が登場するなんて、驚きだ。というか、何よりも今「怪獣映画」が作られる。しかも、これだけの大予算(製作費200億円とか)で、ハリウッドが本気で作るのだ。もちろん、もっと驚かなくてはならないことは、これが「ガンダムの実写版」でもあることだが、それは事前に散々予告されていたことだから、あまり驚かない。巨大人型ロボットにパイロットが搭乗して、動かす。しかも、ロボットの中でパイロットが戦う。 . . . 本文を読む
石井岳龍監督の新作。『生きているものはいないのか』に続く本作も実に静かな映画だ。昔の彼の作品をよく知っている人たちは驚くだろうが、今の彼の作風はこんな感じ。『水の中の八月』くらいから、こういう作品を志向し始めたが、今回もどこまでも内向する。話は広がらない。自閉していく。
狭い世界の話だ。主人公の男女の恋愛のはずなのだが、石井監督は恋愛には興味はない。自分の体に花を咲かすという不思議な体質の女 . . . 本文を読む
劇団態変の上月陽平さんが青い鳥の芝居に出る。もうそれだけで大事件だ。上月さんが普通のストレートプレイに出演して、ちゃんとセリフもある。最初なかなかセリフがないから、こんな調子で行くのかな、と思ったりもしたが、やはりそうではなかった。後半、どんどんセリフもポンポン飛び出してきて、青い鳥の2人とちゃんと掛け合いを演じる。脳性麻痺という事実も芝居に取り込んで、森本恵美さんと双子の姉弟を演じる。上月さん . . . 本文を読む
今回のハレンチキャラメルは、なんと「バテレンもの」だ。でも、芝居の骨格も話の展開もいつもと同じ。神原芝居の王道を行くもので、なんら問題はない。というか、何をやっても問題なんかない。安心して見ていられる。これはマンネリではない。偉大なるワンパターンなのだ。
いろんなことを、ちゃんとわかっていて、やっている。こういう芝居を楽しんでいる。作り手も観客も、である。大衆演劇のテイストだが、これこそ神原 . . . 本文を読む
『パイレーツ・オブ・カリビアン』の監督ゴア・バービンスキーと主演のジョニー・デップが仕掛けた究極の娯楽活劇だ。2時間半の大作である。そのへんのつまらないCGだらけの娯楽アクション映画とは志が違う。こいつらは本気だ。安易なCGで誤魔化す気は毛頭ない。あくまでも本物志向でこの活劇を見せる。
今時珍しい西部劇である。凄まじいアクションを見せてくれる。特にクライマックスの延々と続く列車を使ったスタン . . . 本文を読む
TVシリーズはほとんど見ていない。というか、1回も通して見たことがない。家に帰ったら家族が見ているから、時々途中から、見ることもあったけどそれだけ。だからわざわざ劇場まで見に行くような映画ではない。なのに封切り初日に見てしまった。なんだかなぁ。
でも、映画は悪くはない。とてもバカバカしくて、楽しい。こういうおバカな映画は何も考えずに、ポップコーン片手に、楽しめばいい。豪華キャストが、随所に配 . . . 本文を読む