僕らの年代には懐かしい芥川賞作家三田誠広さんの書かれた『堺屋太一の青春と70年万博』を読みました。
著者自身も大阪出身で、しかも堺屋太一と同じ町内の小・中学校も同窓という縁があり、評伝対象としてのモチベーションを得ているとプロローグで書かれていますが、もちろん小説家としてのデビュー作『油断!』や時代を超えたベストセラー『団塊の世代』など、経済小説の草分け的な特異な作家に並ならぬ興味を持たれてのことです。
大阪商人の冷静な分析能力と自立的精神というDNAを先祖から受け継ぎ、経済産業省の官僚として大阪万博などのエポックメイキングな事業を企画し成し遂げていきながら、堺屋太一は新しい手法を持った作家として数々の問題提言をし続けます。小渕内閣からは経済企画庁長官として民間入閣を果たし、規制緩和など国際派官僚としての手腕も発揮されました。70才となる現在も世界不況下の国際情勢の分析から、日本の方向性に自由と繁栄の方向性を指し示されています。
読後はこの冷静な分析・推察力を元にした発想とアプローチによる、堺屋太一のユニークな未来予測小説をじっくり読み返し検証したい気持ちになりました。
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