『媚薬』
石化した上着(背広)が台座の上に置いてあり、バックは朱赤の単色ベタ。
これを称して媚薬とは・・・。
バックから推して考えるに、相当な時間を隔てた超未来の時空であり、当然ながら衣服の中は空洞である。
とんでもなく時空を隔てた過去の遺物が発見され、台座の上に陳列されている。
現代において当たり前であり、貴重でもない一般的な着衣が、時空を隔てた超未来に奇跡的に発見されたという態である。
The Love Potion・・・超未来から見た古代(現代)への懐古。彼らは、これが何ものなのかも推測しかねるけれど、確かに同族意識を刺激させる要素を見、精神の高揚を覚えているのではないか。
(布類が腐食せず形を留める未来などありあえないが、イメージの領域である)
これは愛である・・・超古代人(現代)の微かなる香りは人類の祖への哀惜・愛着であり、大いなる連鎖の光芒である。
マグリットの眼差しは超未来から現実を見つめている。(フッ)と微笑むようなマグリットの秘かな企みである。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
「こいつは鳥じゃない。たゞのお菓子でせう。」やっぱりおなじことを考へてゐたとみえt、カンパネルラが、思ひ切ったといふやうに、尋ねました。
☆懲(過ちを繰り返さないようにこらしめる)科(咎)の詞(ことば)の講(はなし)は、死の済(すくい)の仁(博愛や同情の心)である。
あの子は、クラムと話をします。でも、はたしてほんとうのクラムなのでしょうか。むしろ、クラムとよく似たところのある人物じゃないかしら。せいぜいクラムの秘書ぐらいのところかもしれません。クラムにすこし似ていて、なおいっそう似ようと懸命になり、クラムのあの寝とぼけたような、夢みるような調子を真似て威張っているのでしょう。
☆彼はクラム(氏族)と話をします。でも、それはクラム(氏族)なのでしょうか。むしろただ誰かある人に似ているだけではないかしら。せいぜいクラム(氏族)の範囲ぐらいのところかもしれません。クラム(氏族)に似ていて、なお似るようになったのは、権力の前のクラム(氏族)の哀しみのようなものなのでしょう。