『夕べの徴』
〈夕べ〉とは何を象徴しているのだろう。夜を〈闇・魔・無・終〉と捉えれば、その少し前ということになる。
つまり、終末の予感ということである。
斜めに置かれた波板(トタン)の上の球体、フレームの前面を切り割いて出現した景色は少し傾いている(全体が変形している)。その地上にも球体が三体、中央には樹木が一本。
背景は黒く見える山頂その間からは微妙に彩度を落とした黄光(上空は暗い)。
これらの条件が『夕べの徴」であるという。
全体の印象としては、すべてが均衡を崩していて、鑑賞者は首を傾げざるを得ない不安定な状態に陥ってしまう。
第一、手前の球体は当然手前に落下していくことが予想される。
朱色のフレームも然り、傾げた波板の上で直立を持続することは不可能である。前面に張られた面が四方に切り裂かれているがつなげても平面に戻らず、意味不明の突き出たもの(立体)になることは必至である。
描かれた風景も地面はまるで板の木目状に見えるし、海に見えるさざ波も微妙に変則である。
背景の黒い連峰の間からの光は夕日なのだろうか、微妙にトーンダウンした不安を掻き立てる色調である。
要するにすべてにおいて、不安を掻き立てるズレ(差異・不条理)があり、その不安の中に球体=真理の暗示(象徴)が不安定な状況に置かれているのである。
『夕べの徴』とは、静かなる危機的状況への警告という気がする。
(写真は『マグリット』西村書店刊)
泣いていた姉もハンケチで目をふいて外を見ました。青年は教へるやうにそっと姉妹に云ひました。
☆究める死を願う我意である。
現れる照(あまねく光が当たる=平等)の念(思い)を強める詞(ことば)の態(ありさま)を運(めぐらせている)。
もちろん、お城からは、そのほかにもお役人や従僕がたくさん来ておられました。ソルティーニは、いかにもあの人らしいんですが、ごくうしろのほうに引っこんでいました。
☆とばっちりの跡を割り当てられ降服してしまいました。そして、死(死界)とは異なった役人やすべての従僕たちが来ていたのです。ソルティーニはいかにも、あの人の性格なのですが全く遠くのほうにいました。