『事件の核心』
布で顔を覆った男と台の上のチューバとスーツケース、背景は青のベタである。
この条件が『事件の核心』であるという。
男の着衣はごくシンプルで、職業や地位などは不詳であるが、手指の様子から推して労働者ではないか。立派な体躯、働き盛りである。
顔(特に眼差しなど)には多くの情報が表出するが、それを隠蔽している。手で押さえているということは固く口をつぐんでいるということでもある。
チューバは、内心の声・主張であり、スーツケースは、内包された秘密である。
バックの青は正義、そして上部に在る少しの暗さは、少しの迷い(暗澹・不服)ではないか。多少の後ろめたさかもしれない。
事件と称している、彼は証言をしているのだろうか。核心は、チューバとスーツケースに内在しているが、彼自身は黙秘の図である。
『事件の核心』、真実はありのままに提示されることはない。
もちろん真実は厳然として在る。しかし、核心は常に隠されていて、核心の追及は困難であるという証明である。
(写真は『マグリット』に書店刊)
「わたしたちはもうなんにもかなしいことはないのです。わたしたちはこんなにいゝとこを旅してぢき神さまのとこへ行きます。そこならもうほんたうに明るくて匂がよくて立派な人たちでいっぱいです。
☆慮(あれこれ思いめぐらす)真(まこと)の講(話)は、冥(あの世)の仁王(仏法の守護神)の律(きまり)を把(手につかむ)任(つとめ)がある。
小柄な、ひよわそうな、もの思いに沈んだような人です。あの人だと気づいたすべての人びとの注意をひいたのは、額にできているしわの恰好です。
☆先祖の小さい小舟の大群です。要するに奇異な感じで、人を驚かせるものでした。いかなる方法での星か、すべては死(死人)なのです。