『ハゲタカの公園』
荒涼とした山の峰、黄緑色の空(上部は暗い)、不気味である。
手前の赤土の大地には波のような質感があり、揺れ動く想定故に、上に設置されたものは、不安定あるいは流されていく予感がする。
板で設えた箱状の物の中には樹木が茂っているが、不自然かつ生育を制御されている。板から生える樹木自体、あり得ないが単に樹木が収められているとも考えられる。これは箱状の囲いによって保護されているのか、隠蔽されているのか、拘束されているのか、全く不明である。ただ、樹木はこの画の中で唯一の生命体である。
箱状の内部の規則正しい点描は何を示唆しているのだろう。考えられ得るものとしては時間という概念であるが、閉じられた時間に未来は見えない。
箱の外にある、下から突き出た亀裂の入ったパイプは何だろう。情報伝達のためのパイプだろうか、しかし亀裂から漏れて霧散してしまう不具合がある。(箱の中の叫びは永遠に届かないかもしれない)
箱の背後にある柵、フレーム状の物は何を意味しているのだろう。単純に考えればストッパーであり、これより後ろへ行くことを抑えているようにも見える。
一つ目のフレームには一本の縦に伸びるパイプが付いていて、天にも地にも届く暗示がある。つまりは《力=権力》ではないか。
この景色の総体を『ハゲタカの公園』と題している。
ハゲタカは何でもさらって食いつぶす鳥である。何もかも剥ぎ取られた後の荒涼。
奪われ拘束され時間の内側に封じ込められた生命体の悲劇。
黒い山々の監視のもと、漂流を余儀なくされている無慈悲な状況、時代の狭間に転落せざるをえなかった殺伐とした領域の閉塞。
『ハゲタカの公園』は、暗黙の告発である。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
けれどもまたそんなにして助けてあげるよりはこのまゝ神のお前にみんなで行く方がほんとうにこの方たちの幸福だとも思ひました。それからまたその神にそむく罪はわたくしひとりでしょってぜひとも助けてあげたいと思ひました。
☆叙べる真(まこと)の善(正しいこと)の講(話)は、法(仏の教え)である。
法(仏の教え)の講(はなし)を複(かさねた)試みである。
ガーラターにしてみれば、身動きもままならぬほどふとっているので、こういう場合には大事をとらざるをえなかったのでしょうね。これは、ただ父のために申しあげたことにすぎません。あれ以来、三年あまりにしかなりませんが、いまは、あそこに腰をかけているところをごらんなさい。ああいうありさまですわ」
☆ガーラター(読み人)にしてみれば、先祖の苦しい苦しい胸を打つような人たちはこのような事件に慎重にならざるをえません。新しい圧迫(圧力)もまたさらに多く、それ以来、ずっと来世ではずっとああしているのです。