『幕の宮殿』
宮殿の幕、ではなく『幕の宮殿』ということなのだろうか。
幕とは、空間の遮断・隠蔽のために仕切られた遮蔽物(布あるいは壁など)である。
宮殿とは、君主の屋敷・御殿を意味する。しかしこれら画の変形フレームに描かれた景と、どう結びつくのだろう。
無彩色の大小の鈴(言葉/声/主張)、雲の散在する薄青い空、根幹の不確かな木々の緑の繁み、そして暗黒を映した闇(沈黙)のパネルが各三枚が交錯して並べられている。
明らかに室内における景である。
これらフレームは壁(床)に平行に置かれ視点は中央にあるにもかかわらず、左端、上方からの視点である。描かれた画(平面)は真正面に見える。つまり空間(視点)は歪んでいる、換言すれば自由な解放された空間である。
重力下の条件を除けば解放された自由空間を暗黙裡に示唆している。
静謐・寡黙・自由に拡がる枝葉・見えない世界の暗躍(冥府)・簡素な室内(現実)・・・。
これはマグリットの内的世界の吐露であり、『幕(押し隠した)の宮殿(わたくしが君主である)』を具象化した図である。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
「作法の厳しい家だ。きつとよほど偉い人たちが、たびたび来るんだ。」
☆査(明らかにする)方(みち、道義)の源(みなもと)は、化(形、性質を変えて別のものになる)という図りごとを頼りにする。
というのは、刈り入れた穀物を運ぶ車と途中で何度もすれちがうからです。車についている人たちは、わたしたちのまえまでくると、話をやめ、視線をそらすのでした。
☆死を思案する人たちと一緒になりますが、わたしたちから目を逸らし、黙り込むのです。