くらかけの雪
たよりになるのは
くらかけつづきの雪ばかり
野はらもはやしも
ぽしやぽしやしたり黝んだりして
すこしもあてにならないので
ほんたうにそんな酵母のふうの
朧なふぶきですけれども
ほのかなのぞみを送るのは
くらかけ山の雪ばかり
(ひとつの古風な信仰です)
☆説(物語)
説(物語)也。
要の講(話)は模(手探り)で弄(思いのままにする)
総て太陽の説(話)であり、個(一つ一つ)の真(まこと)を講(解き明かす)。
『告知』
この景色は何だろう、時代も場所も特定できない。豊穣とは言えない岩盤に緑が茂っている、しかし森や林でもない。
石(岩石)がごろごろしているが、それぞれ個ではなく、幾つかの石(岩石)が合体しているように見える。
緑(大樹)をはるかに超える大きさのピルボケ風のものが二体が立ち(あたかも男女を想定させる)、背後には波打った金属風の衝立があり、馬の鈴が各所にたくさん付いている。そして、その手前(密着している?)には折り畳んで刻みを入れた平面状のものがある。
バックの空は明るいが、雲は少々不穏さを孕んでいる。しかし、大いなる自然の空ではある。(天候の流れは不測)
こっらの条件を満たす結論・状況とは何だろう。
空を隠す波打つ金属板についている馬の鈴は《伝説・風評》などの人の心理であり、その前に立つ切込みの入った平面状のものは、どこまでも続く《連鎖・人類の歴史》を仮定させる。二体のビルボケ(擬人)と共に自然の緑(隊所)を凌駕してる。
この設定は何だろう。人類の原初であり、墓場(冥府)でもあるような・・・。
人類は自然を従えているように見えるが、所詮、石(岩石)の塊として何時かは微塵に散らばっていくものであり、巨大化した伝説や際限なく誕生する生命体、世界を牛耳る支配者も、その立地点の曖昧さ根拠の不明によって崩壊を余儀なくされるのではないだろうか。
克明に描いたこの景色の不明確さ(実存の根拠に欠けている)は、当然条理を外しているが、静かな光景である。(というか、時間が止まっている)
『告知』と言えば受胎告知/人類誕生を思うが、『世界の終わりの告知』としての懐かしい風景、記憶の残存をも孕んでいるのではないか。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
あの四月の実習のはじめの日
液肥をはこぶいちにちいつぱい
光炎菩薩太陽マヂツクの歌が鳴つた
(コロナは八十三万四百……)
☆考えを演べる簿(ノート)を察(よく見て見ると)他意の様(ありさま/方法)がある。
果(結末)の冥(死後の世界)である。
夜の自由な太陽、番(かわるがわる行う)詞(言葉)の飛躍・・・。
わたしとしては、あなたに見すてられ、幼友だちの彼に首ねっこをおさえられ、どうにも防ぎようがありませんでした。わたしが教室の入口を開けてやったのではありません。彼が窓をこわして、わたしを連れだしたのです。
☆あなたから離れ、昔からの味方に支配され、わたしは堪えられませんでした。わたしが罪を放任したのではありません。彼が死の入口を打ち砕きわたしを引っぱってくれたのです。