1-3-1『日の出。日没Ⅰ(グラマンTBFを見た)』
飛行機を俯瞰している? 見上げている。
飛行する物体が空という空間に与える衝撃(振動)、空間を圧している。
『日の出、日没』とある、日の出と日没が同時に見られるはずもなく、これは時間を指しているのだろうか。循環する(地球が回転しながら太陽を巡っているのだけれど)陽の動き。
朝が来て夕になる。その間、空そのものは不動に見える。
その空(空間)を切る飛行物体は明らかな振動を描いて進んで行く。
飛行機の手前の空間の抵抗、飛行機にのしかかる重力、飛行物体が見せる空の景色の大きな波のうねり、《グラマンTBFを見た》はパノラマ仕立ての壮大、否、恐怖の景かもしれない。
写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館